今回の建設IT注目情報 ~大林組「被害情報自動集約システム」~
大地震が起こったとき、建設会社にとって重要なのは施工中現場の災害を防ぐとともに、施工済み物件の被害状況を一刻も早く把握し、対策を採ることです。
大林組は数千件にも上る自社施工物件をもち、これらを対象に震災時の事業継続計画(BCP)を作成しています。インフラ復旧への体制づくりから施工中現場の2次被害防止、施工済み物件の被害状況調査と応急措置完了までを3つのフェーズに分け、これらの全工程を、
ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
72時間以内に完了
することを目標にしています。
このほど、同社ではBCPの実効性を高めるため、携帯電話のメール送受信などに使われる「パケット通信機能」を利用して建物やインフラの被害情報を自動集約するシステムを開発しました。
システムの概要をみてみましょう。まず、携帯電話の画面に地図と物件の位置、概要情報を表示します。調査員は、その情報から物件めざして駆け付け、被災現場で物件の写真を撮り、被災状況のコメントとともに同社の対策本部あてに送信します。
対策本部ではこれらの情報をパソコンに自動集約し、地図上で物件の調査状況や報告を簡単に確認できます。この情報は調査員にもフィードバックされ、すでに調査済みの物件かどうかを判断できますので、重複を防ぎながら効率よく調査できます。
震災時には通信手段の確保が重要です。ここで使われているパケット通信機能は、電力供給がストップしても使える可能性が高く、緊急時の通信手段として期待されています。
地震はいつ起こるか分からず、交通網がストップしているなどの状況下では、必ずしも物件の担当者が受け持ちの物件を調査できるとは限りません。最寄りの人が代わって付近の物件を調査報告できるので効率的ですね。
このようなシステムが誕生した背景には、大林組が地道に行ってきた建物データの管理作業があったのです。