今回の建設IT注目情報 ~大和ハウス工業「moogle(モーグル)」~

 住宅の床下は湿気が高いためにシロアリによる被害が出やすく、給水や給湯、排水、ガスなどの配管や、建物を支える鉄筋コンクリート基礎があります。床下の点検は、建物の“健康状態”を知るために重要です。

 大和ハウス工業では、一戸建て住宅のオーナー向けアフターサービスの定期点検サービスで、10年目以降は床下点検を行っています。しかし、床下の高さは約50cmと狭く、危険が伴います。

 そこで同社では“新兵器”を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
住宅床下点検ロボット
 
で、その名も「moogle(モーグル)」というものなのです。

床下点検ロボット「moogle」(写真:大和ハウス工業)

 このロボットは2006年10月から千葉工業大学、筑波大学と共同開発していたもので、2008年4月からは三菱電機特機システムも加わり、実用化に向けて耐久性や不整地面での走行安定性の向上を図ってきました。

 全長約50cm、全幅約30cm、全高約24cmの本体には、走行用や点検用のカメラ、距離計、照度が調節できるLED照明を搭載し、前後左右に備えたクローラーで高さ15cm程度の障害物をラクラクと乗り越えられます。ニッケル水素蓄電池を搭載し、60分以上の連続使用が可能です。

「moogle」の搭載機器(左)と操縦用コントローラー(右)(写真:大和ハウス工業)

 無線LANアクセスポイントを搭載しており、パソコンに接続したコントローラーで操縦します。床下を移動するときには、本体後方から進行方向を映す走行用広角カメラ(画角75度)の画面を表示する「移動モード」を使って、周囲の状況をよく見ながら移動できます。

 問題のありそうな個所を点検したり、写真を撮ったりするときには、左右120度、上方85度、下方8度に回転できる点検用カメラの画面を表示する「点検モード」を使います。レーザーポインターや寸法測定機能も備えていますので、住宅のオーナーと一緒に画面を見ながら問題のありそうな個所を確認できるようになっています。

「移動モード」の画面(資料:大和ハウス工業)

「点検モード」の画面(資料:大和ハウス工業)

 この住宅床下点検ロボットは2011年4月、大和ハウス工業のグループ会社であるダイワハウス・リニューの関東や中部、近畿地区の営業所に合計50台を配備し、運用を開始します。将来はグループ会社外での利用も視野に入れて研究開発を進めていくとのことです。

 大和ハウス工業はこのロボットの報道資料を発表した翌日、別のロボットの販売開始についても発表しました。こちらはかなり、趣向が違います。