今回の建設IT注目情報 ~トヨタホーム「バーチャル住宅展示場」~

 一時期、「セカンドライフ」というインターネット上の仮想都市がマスコミによく取り上げられていました。ユーザーの分身である「アバター」を使って、仮想都市内でほかのメンバーと会話したり、クルマに乗って移動したりという体験ができるというものです。

 これとよく似たコンセプトの仮想都市を使って、営業活動に乗り出した企業があります。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
トヨタホーム
 
なのです。

 トヨタ自動車では、インターネット上に3次元仮想都市「トヨタメタポリス」を運営しており、トヨタホームはこの中に「バーチャル住宅展示場」を運営しています。

 住宅購入者はセカンドライフと同じようなアバターを設定し、バーチャル住宅展示場にあるトヨタホームのモデルハウスの内外を自由に歩き回って見学できるようになっています。6月25日のオープン以来、新規の来場者は月間約1万人と好調です。

 そこで同社では、営業スタッフ自身もパソコンでアバターを使って、来場者とチャットしながら商談する「トヨタメタポリス住宅商談」を10月8日から始めました。当初は27都府県の販売店から105人のスタッフが参加し、今後、体制を拡大していきます。

バーチャル展示場でのトヨタメタポリス住宅商談の様子(資料:トヨタホーム)

トヨタホーム・バーチャル住宅展示場のウェブサイト(資料:トヨタホーム)

 私も早速、バーチャル住宅展示場のウェブサイトからソフトをインストールしてアバターを作ってみました。光回線を使いましたが、ソフトのダウンロードやインストールには10分ほどかかりました。ソフトを起動させると、早速、案内係のおねえさんが出迎えてくれました。

筆者のアバター(手前)を出迎えてくれた案内係のおねえさん(資料:トヨタホーム)

 

 同社が「トヨタメタポリス住宅商談」を企画したのは、この新しい仮想空間の顧客接点を強化するためです。バーチャル展示場では、住宅の内外装の色や水回り設備をシミュレーションで検討してから実際のモデルハウスの見学に訪れる人や、各地の営業スタッフとの商談に臨む人が増えてきていました。こうした人たちと、すぐにその場で会話、商談できる機会をつくったのです。

 営業スタッフと直接顔を合わせることなく、自分の情報はできるだけ知られずに住宅の詳しい情報を知りたいという人は多いでしょう。バーチャル商談は、その心理にマッチした営業手法ですね。そして、リアルな世界との橋渡しをする機能もあるのです。