今回の建設IT注目情報 ~大浦工測「3Dレーザープロジェクターサービス」~

 設計段階ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)や3次元CADを使った設計手法が普及しつつありますが、施工現場ではいまだに紙の図面が主役です。

 建物の躯体や設備を、設計通りの位置や大きさで施工したり、配置したりするためには、正確に位置を決める「墨出し」という作業が必要となります。

 紙の図面を基に墨出し作業を行うとき、寸法が書かれていない部分はスケールで測って割り出すなど、アナログな作業も必要となります。

 このように苦労の多い現場での墨出し作業をぐっと楽にしてくれるのが、大浦工測が行っている「3Dレーザープロジェクターサービス」です。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
CAD図面を現場に投影
 
してくれるサービスなのです。

 BIMや3次元CADなどで設計した躯体や設備などの設計データを基に、現場内での位置を計算。「3Dレーザープロジェクター」という機器で、太さ0.5mmのレーザー光線を現場に照射して、床や壁などに原寸大の図面を描くものです。精度はプロジェクターからの距離が6mで0.5mmと、非常に高いです。

 現場というリアルな空間に、BIMなどのバーチャルな空間を合体させる「拡張現実感(Augmented Reality)」という技術を墨出し作業に応用したものです。

 例えば、床の上に仕切り壁や建具を配置したり、3次元空間内で配管の取り付け位置を決めたりという作業に使えます。紙の図面を測って作業するのに比べると、精度はぐっと高まりそうですね。

3Dレーザープロジェクターサービスで使用する機器一式(左)と、レーザー光線を照射する3Dプロジェクター(右)(写真:大浦工測)

原寸大で床に建具や壁などの位置をレーザー光で照射したところ(写真:大浦工測)


3Dレーザープロジェクターによる配管の位置決め例。YouTubeより(資料:大浦工測)

 これまで、設計図と現場でできあがったものが、細かいところで違っているというのは当たり前でした。しかし、3Dレーザープロジェクターサービスが普及すると、墨出しが正確になり設計図通りのものを現場で施工しやすくなるでしょう。

 このような技術は建設現場では目新しいですが、大浦工測のカタログを見ると、レーザー光の照射距離などによって様々な3Dレーザープロジェクターが既にラインアップされており、いろいろな用途に使われている節があります。