今回の建設IT注目情報 ~NTTファシリティーズなど「間接外気冷房FMACS-V hybrid」~

 インターネットを活用するサービスが拡大するなか、多くのサーバーやネットワーク機器などを収容するデータセンターの需要は高まる一方です。

 ICT機器の発熱は非常に大きいため、多くのデータセンターでは、真冬でも多くの電力を使って「冷房」しています。省エネのため、せめて、冬の間だけでもキンキンに冷えた外気をうまく使えないかと思ってしまいますね。

 そこで、NTTファシリティーズと日立アプライアンスは、外気温度が冬季から中間期にかけての空調電力消費を大幅に削減できる世界最高水準の省エネ空調機「間接外気冷房FMACS-V hybrid」を共同で開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
冬は圧縮機を使わない
 
で空調機を運転できるものなのです。

 外気温度が約10℃より高いときは圧縮サイクル、約―5℃より低いときはポンプサイクル、その間は負荷状況に応じてどちらかのサイクルを選択して運転します。

 札幌市の気象データで1年間を通じた消費電力やCO2発生量を試算したところ、一般の電算室用空調機と比較して45%の削減になるとのことです。

ICT装置用空調機「間接外気冷房FMACS-V hybrid」を構成する各ユニット(写真:NTTファシリティーズ)

直接外気冷房方式(左)と間接外気冷房方式(右)(資料:NTTファシリティーズ)

 外気を使ったデータセンターの冷房方式には、外気を直接サーバーなどに接触させる「直接外気冷房方式」や今回のように冷媒による熱交換を利用した「間接外気冷房方式」があります。NTTファシリティーズによると、直接方式は、粉じんや塩分などの不純物の心配があったり、湿度調整が必要だったりするのに対し、間接方式では従来の空調機と同じ感覚で使えるメリットがあるとのことです。

 一般の空調機では、冷媒が蒸気になったり、液体になったりと物質の性質が変化する際の「潜熱」を使うことにより、消費したエネルギーの何倍もの冷却能力を発揮できるようになっています。消費電力の少ないポンプユニットで運転する冬季は、どんな冷却メカニズムになっているのでしょうか。