今回の建設IT注目情報 ~日本ラッド「排熱型データセンター」~

 パソコンや携帯電話で、電子メールを送受信したりネット通販で買い物したりするクラウドコンピューティングサービスには、日々、新サービスが登場しています。これらのサービスを支えているのが、データセンターという多数のコンピューターを収容した施設です。

 その問題点の一つが、消費電力が大きいこと。ラックに格納した、サーバーと呼ぶコンピューターを冷却するために運転する空調機器の消費電力が大きく、場合によっては、サーバー自体の消費電力を上回ります。

 そこで、日本ラッドは6月20日、「開放排熱方式」による省エネ型データセンターを着工しました。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、

 
外気のみで冷却

 

するデータセンターなのです。

 データセンターのエネルギー効率を表す「PUE」という指標があります。データセンター全体の消費電力を、うちサーバーなどIT機器の消費電力で割った値で、低いほどエネルギー効率が高くなります。同社の実証実験によると、夏季でもPUEは、平均1.1以下となり、最低1.06を記録しました。この値は、現在のところ世界最高レベルの効率だそうです。

 単純な構造で排熱効率を大幅に向上でき、データセンターの大きさにも制約がありません。そのため、既存の建物を改造して4~6カ月でデータセンターを構築することもできます。

開放放熱方式のデータセンターの仕組み。吸気室に取り入れた外気をサーバーラックに通して排気室に流すだけのシンプルな構造(資料:日本ラッド)

実証試験室を設置したデータセンターの外観(写真:日本ラッド)

 サーバーが搭載しているCPU(中央演算装置)は、稼働時に70℃を超えることがあります。外気温は真夏でも40℃以下なので、こうした方式が採用できるのです。

 空調設備がなくなることは、電力消費が減るだけではありません。建設コストについては、それ以上の効果があるのです。