今回の建設IT注目情報 ~富士フイルム「FUJIFILM 3D計測システム」~
富士フイルムは2009年、3次元デジタルカメラ「FinePix REAL 3D W1」を発売しました。二つのレンズを持ち、右目用と左目用の写真(ステレオ画像)を同時に撮影できるカメラです。
撮った写真をカメラの3Dモニターや3Dプリントで見ると、奥行き感のある写真として見ることができます。
同社では、このカメラで撮影したデータを使って建築現場での測量や文化財の記録などを行う業務用の「FUJIFILM 3D計測システム」を開発しました。
ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、デジタル写真データから3Dレーザースキャナーのように
点群データを出力
することができるのです。
このカメラで撮影したステレオ画像を3D計測システムで処理することにより、被写体各部の3D座標と、デジタルカメラと同等のフルカラーテクスチャー情報を取得できます。
画像から3D座標を取得するときは、製造したカメラ1台ごとに生じる微妙な誤差を高精度に測定して生成したデータ(専用キャリブレーションデータ)を使います。測定精度は1mの大きさの被写体を2mの距離で撮影した場合、±5mm(0.5%)以内です。
小型、軽量(約300g)のデジタルカメラで撮った写真から本格的な3D計測ができると、動く被写体の計測や狭い場所での測量など、3Dレーザースキャナーでは難しかった計測が簡単にできそうですね。
価格は不明ですが、数千万円もする3Dレーザースキャナーに比べると、点群データの取得はずっと安価になるでしょう。
このシステムは、6月23日から25日まで東京ビッグサイトで開催された「3D&バーチャルリアリティ展」で参考展示されました。展示会場を訪ねた私は、3D計測技術に対する関心の高まりを実感することになりました。