大型建築プロジェクトの業務支援を行うシェルパ(名古屋市)では、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)用の3次元CADを使って、建物の運用や維持管理を行うシステムを開発。ある大学から受注しました。また、独立行政法人建築研究所では建物の長期使用に対応した維持保全手法としてBIMに注目し、2010年度から維持管理データの標準化などに本格的に取り組む予定です。

危険物管理や修繕記録管理にBIMを活用

 名古屋市に本拠を置くシェルパは2009年7月、BIM対応の3次元CADを本格的に導入。22人の社員全員が、合計18本の意匠設計や設備設計用の3次元CADを駆使しながらBIMの活用に取り組んでいます。

シェルパ代表取締役の高松稔一さん(左)とオフィス(右)(写真左:家入龍太、写真右:シェルパ)

 これまで、大型プロジェクト3件で、3次元CADで躯体図や平面詳細図を作ったり、配管の干渉チェックを行ったりしてきました。

 そんななか、ある私立大学から施設管理についての相談を受けました。これまでは表計算ソフトと紙図面で管理してきましたが、両者の整合性を保っていくのに限界がありました。管理業務の内容は、大学が保有する70棟の建物すべてを対象にした「危険物管理」や「修繕記録管理」でした。 そこで、施設情報を一元化し、「見える化」するための具体的手法を求められたのです。

 そこでシェルパでは、BIM対応の意匠設計用3次元CADを施設管理に使うことを提案しました。その理由について、同社代表取締役の高松稔一さんは、「BIMなら全フロアの情報を一元化でき、パース化することで『見える化』も容易に実現できるからです」と語ります。

BIM用の3次元CADを使った危険物管理システム。気体別にガスボンベを色分けし、置いた部屋の情報を自動的に読み取り、一覧表に表示することができる(資料:シェルパ)