イエイリはここに注目した! ~気軽なBIM活用が短期間で成果を出すコツ~

 今回のワークショップは、オートデスク本社のセミナールームを会場として開催されました。2月中旬に参加者の募集を始めたところ、70人の定員がわずか2日間で満席になったとのことです。

 2009年は日本の“BIM元年”とよく言われるように、BIMを導入する企業が増え始めた年でした。今回のワークショップでは、導入から1年ほどでBIMを設計実務に使っているというユーザーの発表が多くありました。

 その秘訣は、
 
できるところから使おう
 
という、無理のないBIMの使い方にあるようです。

 例えば、最初は平面図の作成だけを行うという方法です。キッチンやトイレなどは無理に3次元モデルにせず、床や壁に使い慣れた2次元CAD部品のデータを張り付けることで、とりあえず図面だけを作れるようにする。そして、徐々に活用範囲を立面図、断面図、数量表へと広げていくのです。

ワークショップで発表されたBIM活用事例。(上段左)VEC一級建築士事務所によるマンション設計事例と(上段右)施工シミュレーション。(下段左)Revitユーザーグループが作成した仕上げ表ツール。(下段右)山形設計の平面図作成法。丸印のところは2次元CAD部品のデータを使い、無理のないBIM活用を行っている(写真:家入龍太)

 今回の発表者のなかには、BIM用CADを導入した後、いきなり実務に使用して、設計業務をやり遂げた人もいました。これからBIMを導入する企業は、完ぺきにすべてを3次元で設計しようとせず、「できることから使おう」という気軽なチャレンジ姿勢が良さそうです。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログはこちら。
http://www.ieiri-labo.jp/