* 記事は原則執筆時の情報に基づいています。初出から2年が経過していますが、現在でも電子納品の基礎知識についての情報ニーズが高いことから、ケンプラッツで再掲載します(全12回・隔週木曜掲載予定)
電子納品とはその名の通り、図面や施工計画書、現場写真などを、電子データとして納品することだ。ただし、ワープロや表計算、CADなどのソフトウエアで作成したデータや、デジタルカメラで撮った写真を、そのまま提出できるわけではない。国土交通省など発注機関が定めた形式に従って、データの体裁を整えなくてはならない。
基本的な運用ルールや成果品のデータ整理の規則を定めたものが、ガイドラインと要領、基準である。ガイドラインは、電子納品を実施する際の対象範囲や適用基準、留意すべき事項などを説明した運用手引書だ。要領や基準は、さらに具体的に、成果品をまとめる際のフォルダー構成やファイル名、成果品の管理情報に関する規則などを決めている。
これらは、工事用とコンサルタント業務用の2種類があり、それぞれ本編のほかに、電気通信設備編と機械設備工事編がある。さらに、工事と業務の両方に共通する図面と写真の基準がある。
ガイドラインや要領、基準は国土交通省や農林水産省などが、それぞれ個別に定めている。いずれもインターネットで入手することができる。
各成果品には管理ファイルが必要
次に、要領で定められた納品データの構成を見てみよう。工事の場合、発注図や施工計画書、打ち合わせ簿、完成図、写真などにデータを分けて、フォルダーに格納する。各フォルダーには、ファイルの名前やデータの説明などの管理情報を記した「管理ファイル」を付加する。例えば、図面の管理ファイルは図面フォルダーに、写真の管理ファイルは写真フォルダーに格納する。
各成果品の管理情報のほかに、発注年度や工事番号、工事名称など、全体の管理情報も必要だ。これを「工事管理ファイル」としてまとめる。 管理ファイルは、XMLと呼ぶデータ形式で記述する。例えば、工事名称が○○工事ならば「<工事名称>○○工事工事名称>」のようにテキストで表記する。
支援ソフトは不可欠
以上のように、要領や基準の規定に沿って納品データを作成する場合、(1)規定に従ったフォルダーを作成する、(2)成果品を各フォルダーに格納する、(3)規定に従って成果品のファイル名を付ける、(4)各管理ファイルを作成する、といった手順が必要となる。
フォルダーの作成までは自力でできるかもしれないが、成果品のファイル名を規定に従って変更したり、管理ファイルを規定通りに作成したりすることは面倒だ。
こういった一連の作業を簡単にできるようにするのが、電子納品支援ソフトである。通常の業務や工事における成果品の量を考えれば、支援ソフトを使わないで納品データを作成することは不可能と言っていいだろう。
支援ソフトは、フォルダーの作成や成果品のファイル名の変換、管理ファイルの作成などを自動的に行ってくれる。もちろん、成果品の登録と管理情報は、自分で登録する必要がある。
さらに、規則に従っていない管理情報のチェックのほか、英数字やかな文字の自動変換、連番を付ける自動採番といった機能も備えている。こういった機能を使えば、誤りのない成果品を効率よく作成することができる。