今回の建設IT注目情報 ~NTTファシリティーズ「大型3次元振動試験システム」~

 住宅や小さなビルを丸ごと揺らして耐震性を実験する巨大な振動台といえば、防災科学技術研究所の兵庫耐震工学研究センターにある「E-ディフェンス」が有名です。

 20m×15mの振動台に最大1200トンの試験体を載せ、水平2方向に±100cm、垂直方向に±50cmの変位を与えられる、驚くべきスケールのマシンです。

 ところが、この巨大な振動台のスペックを一部、上回る大型3次元振動試験システムが登場することになりました。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
水平方向に±110cm
 
の変位が可能で、E-ディフェンスを10cm上回る性能をもっているのです。

 この振動試験システムは、NTTファシリティーズが開発したものです。2010年3月にNTT武蔵野研究開発センタ内に完成する予定です。

 振動台の大きさは4m×3mで、7tまでの試験体を載せることができます。水平、垂直方向にはそれぞれ複数のアクチュエーター(加振機)が備えてあり、各方向を軸にした回転振動も起こせるようになっています。

 この振動試験システムは、長周期震動による超高層ビルや免震構造ビル内部の大きな揺れを忠実に再現するために開発しました。

 同社のニュースリリースによると、マグニチュード8クラスの巨大地震による長周期地震動の振動試験を行うため、「世界最大」の振動変位を設定しました。開発陣には「E-ディフェンス」を超えようという意識もあったようです。

広帯域対応大型3次元振動試験システム概要(資料:NTTファシリティーズ)

振動試験システムの性能・仕様(資料:NTTファシリティーズ)

 振動台というと、地震動による被害の実験ということが、まず頭に浮かびます。しかし、この振動試験システムが対象とする実験は、最近のビル事情を踏まえて、別の用途も想定しているのです。