今回の建設IT注目情報 ~三菱電機「エレベーター省エネ群管理システム」~

 エレベーターのかごに載っている人が一人のとき、定員の半分のとき、満員のときでは、どれが電力消費量が少なくなると思いますか。

 答えは「定員の半分」。というのも、エレベーターのかごをつるすワイヤロープの反対側には重りがつってあり、ちょうど定員の半分くらいが乗ったときにバランスがとれるようになっているからです。

 それより乗車率が多くなっても、少なくなっても、巻き上げ機には負荷がかかるため、消費電力が増えてしまいます。

 そこで、三菱電機はこのほど、複数のエレベーターを持つビル用に「エレベーター省エネ群管理システム」を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
かごの乗車率まで考慮
 
して、最もエネルギー消費が少なくなるように"配車"してくれるものなのです。

 利用者がエレベーター乗り場でボタンを押したとき、それぞれのかごの位置だけでなく、乗車率が定員の半分に近いという要素も考慮して、トータルに消費エネルギーを計算。最適なかごを選んで運行させる仕組みです。

 そのため、「最も近いかご」を配車するのに比べて、若干、待ち時間は増えます。しかし、 一般的なオフィスビルでは、平均待ち時間の20秒が1~1.6秒程度増えるだけなので 利用者はほとんど不便を感じません。

 朝夕や昼食時など、次から次へと利用者がやってくるような場合は、「利便性優先」でコントロール。空いている時間帯には「省エネ優先」でコントロールというように使い分けることができます。

エレベーター省エネ群管理システム
【仕組みの説明】■(1)6F の利用者に対して1号機・2号機・3号機のどのエレベーターが応答しても待ち時間はほぼ同じ。■(2)6F の利用者に1~3号機を割り当てた時の消費電力の大きい経路は、以下の通り。[1号機:3Fに停止中]主に6F→1F の経路での消費電力が大きい。乗車中の利用者が少ないため、重りとのバランスから遠い状態で走行。[2号機:9Fで乗車中、3階で降車予定]3F→1Fの経路での消費電力が大きい。9Fで利用者が乗車済のため、重りとのバランスに近い状態で走行。[3号機:9Fに停止中]9F→1Fの経路での消費電力が大きい。乗車中の利用者が少ないため重りとのバランスから遠い状態で走行。■(3)(1)(2)より、2号機を6Fの利用者に配車するエレベーターとして選択(資料:三菱電機)

時間帯別の省エネ効果(上)と平均待ち時間(下)。エレベーター4台、16階床の一般的なオフィスビルを想定した省エネ群管理(デフォルトモード)におけるシミュレーション結果。時間帯別消費電力量の値は、従来のピーク時の消費電力量を100とした際の指数(資料:三菱電機)

 エレベーター省エネ群管理システムを搭載したエレベーターは、2010年4月から国内外の市場に順次、投入するとのことです。ただ、メーカーの努力だけではエレベーターの省エネには限度がありそうです。