今回の建設IT注目情報 ~三井住友建設「可視光通信3次元位置計測システム」~

 工事現場の施工管理で、測量が重要な役割を果たすことはしばしばあります。例えば、コンクリートの打設中に型枠や支保工の変位を計測する、道路や鉄道の下にトンネルを掘るときに地盤の沈下量を確認する、といった場面です。

 こうした施工管理での測量は、長時間、連続して行うことが多くあります。また、橋梁やドーム屋根などの工事では、日照による温度変化で構造物が変位する影響を避けるため、日の出前に測量することもあり、測量担当者は大変です。

 そこで三井住友建設は、慶応義塾大学大学院システム・デザインマネジメント研究科と中川研究所と共同で、長時間の3次元測量を無人化できる測量システムを開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
 
LEDによる可視光通信
 
を使ったものなのです。

 この「可視光通信3次元位置計測システム」には、測量の標点となるLED光源、“測量器”となる高解像度デジタル一眼レフカメラ、そしてデータ解析用のパソコンを用います。

 測量の方法は、複数のLED光源を既知の点と構造物や仮設材などの上に配置し、それを2カ所に配置したデジカメで撮影します。その画像データをパソコンで解析して、それぞれのLED光源の位置を3次元的に求める仕組みです。一種の写真測量システムですね。

 三井住友建設では、昨年10月から11月にかけて埼玉県越谷市で建設中の越谷レイクタウン内のコンクリート橋建設現場でこのシステムを使い、コンクリート打設開始から24時間後までの支保工の沈下量を20分間隔、24時間連続で無人計測を行いました。

 同11月下旬には、神戸市西区の配水池増設工事で、直径43.5mの鋼製配水池のアルミドーム屋根の温度変化による膨張・収縮による変位を確認するため、20分間隔で24時間の自動測量に成功しました。

橋梁工事にシステムを適用したイメージ図(資料:三井住友建設)

システムの構成(写真:三井住友建設)

橋梁のコンクリート打設時に支保工を計測した例(写真:三井住友建設)

鋼製配水池のドーム屋根を計測した例(写真:三井住友建設)

 ところで、可視光通信とは、LEDなどの目に見える光を目には感じられないほど高速点滅させることでデジタル信号を伝達する“日本発”の最先端通信技術です。

 このシステムに使っているLED光源は、それぞれが固有のパターンで点滅することで標点の位置を識別しています。点滅するLEDの光をデジカメで撮影することで、それぞれの点が特定できるというのですが、どうなっているのでしょうか。