今回の建設IT注目情報 ~防災科研「eコミウェア」~

 まちづくりや防災、防犯などの地域活動は、消防、警察、学校といった行政機関だけでなく、自治会、NPOなどの参加も重要です。

 これらの地域活動に対し、面白いアイデアや意見を持っている住民がいても、勤務の都合などで集会に参加できるメンバーが少なく、盛り上がらない、といったことも多いのではないでしょうか。そんなときには、24時間いつでも参加できるウェブサイトの活用が有効です。

 そこで、防災科学技術研究所(防災科研)は、ユニークなソフトを無料公開しました。
 
ナ、ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、まちづくりにも使える
 
高機能防災サイト
 
を、簡単に作れるものなのです。

 防災科研が災害リスク情報プラットフォーム研究プロジェクトで開発した「地域協働・防災活動支援ソフトウェア」(略称:eコミウェア)というもので、「eコミグループウェア」「eコミュニティ・プラットフォーム2.0マップ」「相互運用gサーバー」という3つのソフトから構成されています。

 「eコミウェア」には「掲示板」や「カレンダー機能」「マップ機能」「ブログ機能」といった「パーツ」が用意されており、必要なパーツを選んでサイト上に自由にレイアウトできます。

 まるで、一般の無料ブログサイトを立ち上げる感覚で、まちづくりや防災などに役立つサイトを作ったり、更新したりできるのです。このサイトを拠点に地域活動を行うと、日ごろ忙しい人も参加してくれそうですね。

 マップ機能ではグーグルマップなど、インターネットで配信されている地図を表示することができ、地図のほか航空写真や地形、数値地図などを見ることができます。この機能を使って災害時の避難場所や避難経路を案内できるわけです。

 また、ブログ機能では、地域のニュースやイベント情報、地場野菜、レストラン情報といったコミュニティー情報誌のような情報発信も可能です。

 防災用の情報サイトを作っても、日ごろアクセスする機会がないと、いざというときにその存在自体が忘れられてしまいがちです。

 「eコミウェア」の良い点は、日ごろはコミュニティー情報誌のように、楽しい地域情報を発信して多くの地域住民のアクセスを集めるようにしておき、災害が起こったときには同じサイト上で避難や防災情報などを流せることです。

「eコミウェア」で作ったサイトの例(資料:防災科学技術研究所)

「eコミウェア」に用意されているパーツの例(資料:防災科学技術研究所)

「eコミウェア」での「マップ機能」による地図の表示例(左)と、「地図」と「ブログ」の連動(右)(資料:防災科学技術研究所)

 ただ、ここまで紹介した機能だけなら、一般向けの無料ブログシステムでも作れそうだと思う人もいるでしょう。しかし、さすが防災科研が開発しただけあって、いざというときに役に立つ本格的な機能が備わっているのです。