今年、日本では48時間で建物を設計するインターネット上の仮想コンペ「Build Live Tokyo」が2月と9月に開催されました。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を駆使して、建物の設計や様々な解析について、そのプロセスや成果物の出来栄えを競うイベントです。

海外でも同様のコンペはよく行われております。日本時間の12月15日21時から17日21時までの48時間、ロンドンを舞台にした「Build London Live 2009」が開催されました。そして、日本チーム(Team BIM Japan)も参加したのです。

今回の建設地点はテムズ川に浮かぶ仮想の人工島で、参加チームにはくじ引きで島内の敷地が割り当てられます。その敷地に、250室のホテル(駐車台数は最低100台)、5万m2以上のオフィス(同200台)、200戸の住宅、2000m2の小売り店舗、そして最大20階建てという条件を満たす施設を設計せよというルールです。

日本チームの構成は、チーフアーキテクトをビム・アーキテクツの山際東さんが務め、4Dシミュレーションはインフォマティクス、日影シミュレーションは大塚商会、風環境シミュレーションは環境シミュレーション、バーチャルリアリティーはフォーラムエイト、セキュリティー計画はセコムIS研究所がそれぞれ担当しました。

日本チームは昨年6月、同じくロンドンを舞台にしたコンペ「BIMStorm」に初参戦し、その時は「審査員賞」に終わりました。今回はそのリベンジマッチともいうものです。日本チームのメンバーはBuild Live Tokyoに参加した人ばかりで、その経験を生かして世界を相手に戦いました。その48時間にわたる“死闘”を振り返ってみましょう。

舞台となったロンドンのテムズ川に浮かぶ仮想の人工島(資料:Build London Live 2009)

初期段階のイメージスケッチ
(資料:Team BIM Japan)

設計コンセプトの比較検討
(資料:Team BIM Japan)

4Dシミュレーション
YouTubeにアップした施工手順の動画(左)と歩行者の動き(右)(資料:Team BIM Japan)

設計最終段階のCG
(資料:Team BIM Japan)

日本チームにとって3Dの設計はもはや当たり前で、施工手順や完成後の交通シミューションなどに時間軸を加味した4Dで勝負しているようですね。

スタート時刻はロンドンでは正午ですが、日本は21時でした。日本は夜中であるにもかかわらず、設計のスケッチなどの中間成果品をどんどんコンペの事務局に提出したので、主催者側は驚いたようです。欧米人から見た“大和魂”の一コマが主催者のブログに掲載されていました。