道路や橋は、新設よりも維持管理の方が重要視されつつありますが、工業用水や農業用水、各種導水路などの管路も例外ではありません。これらの管路は、1960年代の高度成長期に建設したものが多く、耐用年数に近づいているのです。

しかし、地上のインフラと異なり、水が流れていたり、管路の断面が小さかったりするため、内部の劣化状況を人間の目で点検することが難しい場合もあります。

そこで、活躍するのが水中ロボットです。三井造船は10月30日に関西電力舞鶴発電所にある高さ、幅6.2mの放水路トンネルを「RTV-KAM」というロボットで検査しました。そのトンネルの長さは、

ナ、ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、

 

2500m

 

もあるのです。

このロボットは長さ約1852mm、質量約106kgで、360度旋回式のテレビカメラを搭載し、リアルタイムで管路内の状況を見ることができます。また、カメラは18倍ズームで水中構造物の損傷個所の点検や寸法計測も可能です。

ただ、ケーブルが付いているため、ケーブルの長さ以上の距離は点検できません。三井造船にはこれまで1500mのケーブルしかありませんでしたが、2600mのケーブルを製作したため、“超長距離”の点検が可能になりました。

農業用水や工業用水、水道の導水路などは長距離のものが多く、今回の成功でRTV-KAMの活用範囲が広まります。

水中ロボット「RTV-KAM」(写真:三井造船)

水中ロボット本体の仕様
(資料:三井造船)

今回、使用した水中ロボットは新しく開発されたものと思いきや、意外な歴史があったのです。