建物などの3次元形状をスピーディーに計測できる3Dスキャナーという測量機があります。最近の技術進歩はめざましく、クルマに3Dスキャナーを搭載し、時速数十キロのスピードで走行しながら道路や街路樹、周辺の建物などを高精度で測定できるようになりました。

3Dスキャナーで測量した無数の点座標データは「ポイント・クラウド」や「点群」と呼ばれます。文字通り、“雲”のよう空間に漂う点の集合体です。

ただ、点群のデータは非常に重いため、3次元CADに読み込んで設計などに使うためには、点群を人の手で3次元トレースすることにより、データを軽くする必要がありました。ところが、土木用3次元CADが進歩した結果、オートデスクの「Civil 3D 2010」では、

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、3Dスキャナーが出力した

 

1000万点もの点群データ

 

をわずか1分半ほどで読み込み、サクサクと動かせるようになったのです。

同社の技術者によると「上限は確認していないが、少なくとも数千万点のオーダーで読み込めそうだ」とのことです。これは、2~3年前にはほとんど考えられなかったようなスゴイことなのです。

11月5日、オートデスクが開催した「土木3 次元ソリューションセミナー2009」で紹介された三次元モービルマッピングシステム(MMS)研究会の事例は、クルマにGPSアンテナや慣性航法装置、3Dレーザースキャナー、デジタルカメラなどを搭載し、街路の点群データを走行しながら収集するシステムについてでした。

距離約35kmの街路を計測するのに2時間くらいしかかからず、その間に1億1000万点もの点群データが取れます。それぞれの点には、デジタルカメラが取り込んだ色が付きます。

3次元CADに点群のデータを読み込んで表示させると、周辺の建物や電線などの位置も3次元的に分かるので、任意の点間の距離を知ることができます。現況の地形や建物を反映した設計や干渉チェック、施工計画の作成など、いろいろな目的に使えそうですね。

3Dスキャナーなどを搭載したMMSの計測車両(写真:日経BP社)

MMSによって測量した街路の点群データ。計測の際にデジカメが取り込んだ色が付いているので分かりやすい(写真:日経BP社)

街路全体の点群データをまとめて表示したもの(写真:日経BP社)