自然界の動物、植物、地形には様々な曲線や直線を組み合わせた形状があります。一見、不規則に見える形でも、実はある数学的なアルゴリズムに沿って作られた、合理的な形状である場合もあります。

このような“自然の摂理”に従って建築デザインを行う手法として、「アルゴリズミックデザイン」があります。形を創造するための条件や処理手順をプログラムとして作り、コンピューターで解析することによって様々な形を自動生成する方法です。

当然、出来上がった形状は複雑な曲線や曲面からなるものが多く、これまでの2次元図面では表現しにくいという難点がありました。ところが昨今のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の手法を使うことで、複雑な3次元形状を表現しやすくなってきたのです。

BIMは「ぐにゃぐにゃ」とした自由な曲面をデザインしやすいのが特徴です。「アルゴリズミックデザイン」によって作られたデザインは一見「ぐにゃぐにゃ」のようでも、その根底には芯の通った

 

自然界の合理性や理屈

 

が盛り込まれているわけですから、より深みと普遍性を感じさせるものになるかもしれませんね。

そこで、建築学会情報システム技術委員会が12月3日~4日に開催する「第32回情報・システム・利用・技術シンポジウム」では、BIMとアルゴリズミックデザインが融合することで、建築デザインがどのように変化するかを、大々的なテーマとして取り上げることになりました。

プログラムの内容は、「設計情報メディアの進化-BIM・アルゴリズミックデザイン・デジタルファブリケーション-」と題したオープニングシンポジウムのほか、「生命環境モデルとGISの可能性」、「BIM活用の現状と課題」、「アルゴリズミック・デザインとものづくり教育を繋ぐ」をテーマにした三つの研究集会が行われます。

アルゴリズミックデザインの作品例。シンポジウムで講演するハーバード大学Kostas Terzidis准教授の著書Algorithmic Architecture表紙に使われた画像(資料:池田靖史氏/IKDS・慶應義塾大学)

アルゴリズミックな配列を使って構造が組み立てられたガラスのパビリオン(資料:池田靖史氏/IKDS・慶應義塾大学)

プログラムのタイトルだけを見ると、ちょっとお堅い話ばかりのような感じもしますが、2日目の最後には肩の凝らない企画も用意されているのです。