「大容量の電力は貯蔵しづらい」というのが、これまでの常識でした。発電した電力は、その瞬間に照明や空調、電気機器などで消費するという前提で、社会全体が動いていたといっても過言ではありません。

例えば、真夏の高校野球中継などでは、テレビやエアコンなどの電力消費量が発電量の限界に近づくため、番組中で「節電にご協力を」といったメッセージが流れることも珍しくありません。

ところが、JR東日本では、これまでの常識を覆すような面白い“電車”を開発しています。

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、

 

電池で走る電車

 

なのです。

電化されていない路線向けに開発した「蓄電池駆動電車システム」を搭載した「NE Train スマート電池くん」という試験車両です。600V、163kWhのリチウムイオン蓄電池を搭載しており、1回の充電で約50kmを走行できるそうです。

車両には普通の電車と同様にパンタグラフが取り付けられています。内蔵した蓄電池に電気をためられ、架線のない区間も走ることができます。このほど完成し、10月から試験走行することになりました。

電化区間では走りながら充電できます。また、非電化区間でも、駅などに短い架線を張った施設を設ければ停車中に充電することが可能です。

内蔵した蓄電池で走行する「NE Train スマート電池くん」(写真:JR東日本)

電化区間、非電化区間の運転モード(資料:JR東日本)

運転モードごとの電気の流れ(資料:JR東日本)

「NE Train スマート電池くん」は、ディーゼルハイブリッド車両や燃料電池車両の開発用に使われた「NE Train」を改造して作られた(資料:JR東日本)

パソコンや携帯電話などはともかく、電車のような巨大なものも「充電」して動かす時代になりつつあるのですね。この流れは、建築分野にも押し寄せつつあるのです。