国土交通省の取り組み

 日本では1995年から、当時の建設省が土木・建築工事などの公共工事の執行に、このCALS(Continuous Acquisition and Life-cycle Support :継続的な調達とライフサイクルの支援)の概念を導入しています。事業執行の透明性の確保、品質の確保・向上、業務執行の効率化を目的とした、情報の電子化による構造物のライフサイクルサポートと電子商取引の実現を目指した「公共事業支援統合情報システム」の構築が、「建設CALS」としてスタートしたのです。

CALS/ECは、「公共事業支援統合情報システム」の略称であり、従来は紙で交換されていた情報を電子化するとともに、ネットワークを活用して各業務プロセスをまたぐ情報の共有・有効活用を図ることにより公共事業の生産性向上やコスト縮減を実現するための取り組みです。
図1●CALS/ECとは(出典:国土交通省「CALS/ECアクションプログラム2008」)
図1●CALS/ECとは(出典:国土交通省「CALS/ECアクションプログラム2008」)

 その後、建設省と運輸省とが統合され国土交通省となり、運輸省で進められていた空港・港湾CALSと一体化し、CALS/ECと改められました。ECとは、先に紹介したElectronic Commerce(電子商取引)を指します。

 以下に、国交省のHPに掲載されているCALS/ECの目的と定義を挙げます。国土交通省では、CALS/ECを「公共事業支援統合情報システム」の略称と定義しています。

 これで、CALS本来の意味と日本におけるCALS/ECの定義と目的がご理解いただけたと思います。では、1995年から始まった建設CALS/ECで何が変わったのでしょうか。