建築設計の業務では、ここ1~2年でビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)を実際に導入する企業がぐんと増えた感がありますが、配管や空調、電気などの設備設計ではまだまだ2次元CADが幅を利かせているようです。

そんななか、設備工事の大手、新菱冷熱工業では、3次元CADの活用を推進しようと、昨年10月、新しい部署が発足しました。同社が設計に使っている3次元CADでの名前を冠した「S-CAD推進課」という部署ですが、

ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、設計部ではなく、


社長室の中


にあるのです。


S-CADとは、設備設計用の3次元CAD「DesignDraft」を新菱冷熱工業用にカスタマイズして開発したソフトです。同社ではプロジェクト全体の約10%でS-CADを使用しているそうです。

新菱冷熱工業社長室S-CAD推進課の澁谷寿夫課長(右)と谷内秀敬専任課長(左)(写真:日経BP社)

S-CAD推進課のモデルプロジェクト(資料:新菱冷熱工業)

S-CADによるモデリングプロジェクトの概要(資料:新菱冷熱工業)

同社のBIMへの取り組みを紹介するプロモーションビデオ「建築生産性の改革に挑む」では、設備モデルのウォークスルーも紹介(資料:新菱冷熱工業)



BIMが流行する中、設備図面はいまだに2次元が主流です。関係者に話を聞いてみると「3次元化するメリットがない」とか「建築図面自体が2次元なので」という声が多いようです。

しかし、いよいよ、設備工事業界の大手も「BIMを推進していく」という経営戦略のもと、BIM対応に乗り出しました。1カ月にわたる新入社員教育でも2週間ほどはS-CADの教育にあてたり、


社内の昇進試験


でも、S-CADが取り入れられているとのことです。


現在はゼネコンなどから躯体の2次元図面でもらい、それを3次元化して設備の3次元モデルを入れることが多いようですが、最初から3次元の躯体モデルがもらえると効率も上がりそうですね。1年後、この状況がどうなっているのかが楽しみです。