3次元CADの活用が進むにつれて、建築設計にかかわる建設会社や大学などでは、

3Dプリンターという機械が徐々に導入されつつあります。


石こうなどの粉末や溶解したプラスチックを、物体の断面形状に従って薄く、一層ずつ

積み重ねていって、最終的に立体的な建築模型などを作るものです。


3次元CADで設計したとおりに立体の模型をそのまま「プリントアウト」できますので、

曲面形状に富んだデザインの模型でも簡単に作ることができます。


先日、3次元プリンター関係のホームページをいろいろと見ていたところ、面白い

ものを発見しました。


ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、



透明なシートを積層



して3次元の模型を作る製品があったのです。


愛知県吉良町に本社を置くキラ・コーポレーションが販売している「SD300」という3Dプリンター

で、PVC(ポリ塩化ビニル)のシートを物体の断面形状に沿って切断しながら、溶融接着して

積み重ねることにより、剛性の高い模型を作るものです。


塩ビシートを積み重ねて模型を作る3Dプリンター「SD300」(以下の画像:キラ・コーポレーションのホームページより)


SD300の仕様。厚さ0.168mmのシートを積み重ね、160mm×200mm×135mmのサイズまでの模型を作れます


模型の作例。中空の部材も二つに分けてパーツを造形し、組み立てることで作れます

模型の材料となるのは、厚さ0.168mmの塩ビ製シートで、これを積み重ねていくことにより、

160mm×200mm×135mmのサイズまでの模型を作ることができます。


造形が終わった後、不要な部分は手で撤去する必要があります。中空になった部材は、

二つに分けて造形し、後で組み立てることで作成することができます。


造形精度は、縦横が±0.25mm、高さ方向が±1.5%とのことです。本体重量は約45kg、

外形の大きさは470mm×770mmとコンパクトなので小さな事務所でも使いやすそうですね。


気になるお値段は、本体、消耗品、設置、操作教育などを含めて



約270万円



と低価格です。


同社では従来から、紙を積み重ねて模型を作る「KATANA」という3次元プリンターを発売して

いましたが、塩ビシートを材料にするタイプは透明感のある模型が作れますので、

建築分野にもいろいろと使えそうですね。