48時間でビルを設計する「Build Live Tokyo」
個性豊かな6チームが参加し、真剣勝負



東京の臨海地帯を舞台に、必要な建物の種類や床面積など、与えられた条件に従い、48時間という短い間に建物を設計することを競うインターネット上の設計コンペ「Build Live Tokyo 2009」が2月25日から27日の間、日本で初めてIAI日本によって開催されました。

スピードと正確さが要求されるため、“建築界のF1レース”ともいえるこのイベントには、今回、6チームが参加しました。意匠設計者と構造設計者の2人だけで結成したチームや、学生チーム、全国各地に散らばる総勢36人ものメンバーからなる巨大なチームまで、個性あるチームが技を競いました。

Build Live Tokyoのブログには、設計課題やチーム紹介、設計の進行過程、講評などが詳細に報告されている



また、気流や熱流体解析、ヒートアイランド解析などには、これらのソフトを発売しているエーアンドエーや環境シミュレーション、生活産業研究所が「サービスプロバイダー」として参加し、各チームからの依頼を受けて解析サービスを行いました。

25日の正午にスタートした後、各チームからは情報共有システムに途中経過を次々にアップロードし、IAI日本の報道担当者が独自の取材に基づき、専用のブログに各チームの成果をリアルタイムで報告しました。日本中から約300人が観戦者用のIDを入手し、各チームの動きを見守ったのです。イベント期間中、各チームはどのように奮闘していたのかを見てみましょう。


組織の違いを乗り越え、36人のメンバーがコラボレーション
“BIMマネージャー”の機能もシミュレーション


BIM用3次元CADソフト「Revit Architecture」のユーザー会メンバー(RUG)からなるチーム「the BOMb」は、19の組織にまたがる36人のメンバーからなる巨大なチームです。東京に「指令本部」を設け、“司令長官”ことRUG会長の伊藤久晴さんが電話を通じて、各地のメンバーに設計作業を依頼していました。

「メンバーは鳥取県の米子市や高知市、熊本市などに散らばっており、モデリングや外構などの設計を分担しています。数多くに分かれた作業の進捗を調整しながら全体のプロジェクトを進めていくのが難しいです」と伊藤さんは語ります。会社で言えば「BIMマネージャー」のような仕事を、19の会社や大学などを対象に行っているのと同じ状況でした。

設計しているのは、自然通風を生かして省エネを図る建物です。シーラカンス・アンド・アソシエイツによる意匠設計に基づき、これまでのBIMでは珍しいなだらかな曲面から建物をBIMで具現化していきます。建物の3次元モデルができあがると、熱流体解析を行い、海からの風で建物の周囲の風通しがどうなるかも検証しました。

36人のメンバーがコラボして作り上げた作品。自然通風を生かし、カーテンウォールには太陽光発電パネルが埋め込まれた設計になっている(画像:the BOMb)
東京の某所に設けられた「司令本部」の様子 綿密な工程表が張られていた
司令本部のロゴや看板まで作る本格派 “司令長官”こと伊藤久晴さんはBIMマネージャーの役割を担う。電話で各地のメンバーに次々と指示を出していた