世界レベルを超えた出来映えに驚く主催者
15年間のIAIの理念が現実となった


終了後、審査のために集まった主催者のIAI日本のメンバーは、日本のBIM活用技術のレベルの高さに、驚きを隠せませんでした。

IAI日本の代表理事を務める山下純一さんは「今回のBuild Live Tokyoは、当初、どれくらいのチームが参加してくれるのか心配な面もありましたが、IAI日本のFAT分科会のメンバーが献身的に準備してくれたおかげで、期待以上の成果が出せました」と語りました。FAT分科会リーダーの萩原忠さんも「当初の予想をはるかに超える出来でした。これまで海外で行われてきたBIMストームの結果と比べても、世界レベル以上に達していると言ってもいいくらいです」と驚きを隠せない様子でした。

今回のBuild Live Tokyoの審査を担当した日建設計 設計部門副代表の山梨知彦さんは、「今回、各チームの途中経過がブログなどで公表され、他チームの成果に触発されながら、設計を進めていくというプロセスは、社内で行うとBIMを使った“ブレーンストーミング”のようになって面白いと思いました。一人ひとりの設計者では思いつかないようなアイデアが出てきそうです」と、BIMの新たな側面にも注目しています。

各チームから提出されたBIMモデルは、外観だけでなく、内部の属性情報もしっかり作られているものが多く、短時間ではしっかりとした評価を行うのが難しそうです。そこで、主催者のIAI日本では今後、共有サーバー内のモデルデータを精査し、アワードを選定することになりました。

参加した各チームのメンバーは、自分たちがBIMを使って真剣勝負すると、48時間でどれだけのアウトプットが出せるのかを改めて認識したことでしょう。それぞれ、今後のBIM活用の可能性について、自信を持ったに違いありません。

勝ったのは各チームの参加者だけではありません。まだ、BIMという言葉もなかった1990年代後半から、建物の3次元モデルデータの交換標準を地道に開発し続けてきたIAI日本のメンバーは、これまで頭の中で想像してきた自分たちの開発成果や建築設計プロセスの革命を、目の前で見ることができ、300人にものぼる観戦者たちに実証することができたのです。IAI日本もまた、今回の成功によって大勝利を収めたと言えるでしょう。


2月27日の午後、一室に集まり、モデルデータの内部まで開いて各チームの出来映えを講評するIAI日本のメンバー
FAT分科会のリーダーとして、Build Live Tokyo2009を取り仕切った萩原忠さん “審査委員長”を務めた日建設計 設計部門副代表の山梨知彦さん

【参加チーム紹介】
チーム名 V-SPEC
メンバー構成 ビム・アーキテクツ 建築設計部、ataKikaku、Next Picture、渡辺健児
チーム名 スカンクワークス
メンバー構成 前田建設工業、テクラ、RIC、アドバンスドナレッジ研究所、グラフィソフト
チーム名 the BOMb
メンバー構成 RUG(Autodesk Revit User Group Japan)、シーラカンスアンドアソシエイツ、大成建設、美保テクノス、千代テクノエース、熊本大学、BM都市設計、TAG建築設計事務所、スリーディーイノベイションズ、大塚商会、環境シミュレーション、インテグラ、GSA、アークデータ研究所、ジオプラン、QLEA、インフォマティクス、Z CORPORATION、オートデスク
チーム名 Hokutosei
メンバー構成 福井コンピュータ、三谷産業 空調サービス本部、セコム IS研究所、マイスター
チーム名 Archi-TEKLA
メンバー構成 大脇茂弘、池田雅信(池田雅信建築デザイン事務所)
チーム名 LEI
メンバー構成 東北工業大学 許雷講師と許研究室の学生

【サービスプロバイダー紹介】

会社名 エーアンドエー
サービス内容 「サーモレンダー」による熱環境シミュレーションサービス
会社名 環境シミュレーション
サービス内容 「WindPerfect」による風環境または温熱環境のシミュレーションサービス
会社名 生活産業研究所
サービス内容 ADSによる日影・天空率シミュレーションサービス
   


(「建設3次元まつり2009」の大河ストーリーは原則、毎週水曜日に更新します)