「電子納品対象工事なので、よろしく!」。こんな言葉を残し発注者は去って行った――。まるで、恐怖映画の始まりのような書き出しですが、電子納品がこんな状況で実施されている現場はまだまだたくさんあります。

 今回は公共工事を受注するわれわれ建設業に身をおく人間として、避けては通れない「電子納品」について説明したいと思います。

 わたし自身、「電子納品なんて、ちょっとだけパソコンが使えれば簡単、簡単」と少しばかり得意げになっていましたが、いざやってみると、「あれ!?」「なんで!?」ということが少なくありません。社内でパソコンが使えると太鼓判を押されている人が、必ずしも電子納品に精通しているとは限りません。

 今回は落とし穴にはまらないように、ITの知識をフルに使いながら、適切に電子納品を行う手順を説明しましょう。

データ登録を進めると…

 さて、あなたはどこまで理解できていますか。

 よく現場からわたしのところに「電子納品するけど、どんなソフトが使いやすいかなぁ」と相談が寄せられます。そんな時、わたしは必ず聞き返すのです。「ところで、今回実施する電子納品は具体的にどのような書類を提出することになっていますか~」と。返ってくる答えのほとんどが「これから考えるよ」とか「まだ発注者から指示されていないので、これからかなぁ」という内容です。

 このような電子納品対応は、経験からすると間違いなくボタンの掛け違いが起こり、竣工直前になってから、「ソフトは準備して使い方もばっちり。だけど、実際のデータ登録作業がこんなに大変なものだとは思わなかったよ。なんとかならないかなぁ」と言ってきます。

 電子納品とは、どんなに使いやすい作成ソフトがあり、使い方が完璧だとしても、いざ実際にデータ登録を進めると、実はそう簡単には使えないのです。まずはこの点を頭の片隅にとどめておいてください。

提出するのは図面・写真・書類の3種類

 電子納品で提出するものは、大きく3つあります。図面と写真と書類の3種類です。

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