2次元、3次元の汎用CADとしては、もはや成熟の域に達したのかと思いきや、まだまだ進化を続けています。
2月19日に発表された最新版の「AutoCAD 2010」の機能を見て、ビックリ。
ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、“ぐにゃぐにゃ”と
粘土をこねるように造形
する「フリーフォーム デザインツール」というものが、新たに搭載されたのです。
これは、3次元の直方体や球、円錐などの基本的な立体を引っぱって伸ばしたり、曲げたりすることにより、
仮想の3次元空間で自由自在に曲面を作ることができる機能です。
同社のCGアニメーションソフト「Autodesk 3ds Max」と同じ画像処理エンジンを搭載したことにより、
優美な曲面からなるデザインが可能になったそうです。
Google SketchUpなどと比べて、「お堅い」イメージがあったAutoCADですが、この機能によってより
人間らしい、柔らかいデザインから、図面や発注書といったものづくりにつないでいけそうですね。
最新版のAutoCAD2010を使って行ったスプーン取っ手のユニバーサルデザイン(画像:オートデスクのプレスリリースより)
デモを行いながら説明するオートデスクプラットフォームソリューション インダストリーマーケティングマネージャの清水卓宏さん(左)と取っ手のもとの形(右)
「十手」のような立体を曲げたり(左)、引っぱって膨らませたり(右)しながら、優美な形に仕上げていきます
このほか、新たに搭載された機能としては幾何拘束や寸法拘束を使ってCAD部品の特定の部分だけを伸ばしたり、
他の図形と連動させて変形させたりする「パラメトリック設計機能」があります。これは、BIM用の3次元CADの機能
と似たような感じです。
それから、インターネットによる図面のやりとりを便利にする機能として、
PDF図面の読み込み
などのサポート機能が付きました。
設計者は他社とコラボレーションするとき、オリジナルのCADファイルでなく、PDF化した図面を交換することが
多いことに対応したもので、PDF図面を下絵にして、端点などに「スナップ」しながら正確な図面を描けるように
なっています。
PDF図面の座標の精度がAutoCADの精度に釣り合っているかどうか、気になるところですが、そんなに
精度を要求するような仕事をPDF図面で行うことはないという説明でした。なるほど、そうかもしれませんね。
さらに、設計した建築物や構造物などの模型を3次元プリンターで作成できるように、3Dプリンターとの
連係もよくなったそうです。
26歳になったAutoCAD、これからも“革命”を起こしてくれそうですね。