建築、土木業界でよく使われているAutoCADは、1982年に発売され、26歳を迎えました。

2次元、3次元の汎用CADとしては、もはや成熟の域に達したのかと思いきや、まだまだ進化を続けています。


2月19日に発表された最新版の「AutoCAD 2010」の機能を見て、ビックリ。


ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、“ぐにゃぐにゃ”と



粘土をこねるように造形



する「フリーフォーム デザインツール」というものが、新たに搭載されたのです。



これは、3次元の直方体や球、円錐などの基本的な立体を引っぱって伸ばしたり、曲げたりすることにより、

仮想の3次元空間で自由自在に曲面を作ることができる機能です。


同社のCGアニメーションソフト「Autodesk 3ds Max」と同じ画像処理エンジンを搭載したことにより、

優美な曲面からなるデザインが可能になったそうです。


Google SketchUpなどと比べて、「お堅い」イメージがあったAutoCADですが、この機能によってより

人間らしい、柔らかいデザインから、図面や発注書といったものづくりにつないでいけそうですね。


最新版のAutoCAD2010を使って行ったスプーン取っ手のユニバーサルデザイン(画像:オートデスクのプレスリリースより)


デモを行いながら説明するオートデスクプラットフォームソリューション インダストリーマーケティングマネージャの清水卓宏さん(左)と取っ手のもとの形(右)


「十手」のような立体を曲げたり(左)、引っぱって膨らませたり(右)しながら、優美な形に仕上げていきます

このほか、新たに搭載された機能としては幾何拘束や寸法拘束を使ってCAD部品の特定の部分だけを伸ばしたり、

他の図形と連動させて変形させたりする「パラメトリック設計機能」があります。これは、BIM用の3次元CADの機能

と似たような感じです。


それから、インターネットによる図面のやりとりを便利にする機能として、



PDF図面の読み込み



などのサポート機能が付きました。



設計者は他社とコラボレーションするとき、オリジナルのCADファイルでなく、PDF化した図面を交換することが

多いことに対応したもので、PDF図面を下絵にして、端点などに「スナップ」しながら正確な図面を描けるように

なっています。


PDF図面の座標の精度がAutoCADの精度に釣り合っているかどうか、気になるところですが、そんなに

精度を要求するような仕事をPDF図面で行うことはないという説明でした。なるほど、そうかもしれませんね。


さらに、設計した建築物や構造物などの模型を3次元プリンターで作成できるように、3Dプリンターとの

連係もよくなったそうです。


26歳になったAutoCAD、これからも“革命”を起こしてくれそうですね。