三連休の最終日、埼玉県立近代美術館で開催中の企画展「都市を創る建築の挑戦」を見てきました。

ゼネコンや大手建築設計事務所の15社が出展しており、「都市の建築」を考えようという企画です。


それぞれ、映像や模型などを駆使して、個人の有名建築家に比べてあまり目立つことのなかった

設計組織の仕事や成果をわかりやすく、魅力的に紹介しています。


その中で、超高層ビルの外装材が7.2m×4mのスケールで大きく切り出された展示物がありました。


ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、超高層ビル用の



“打ち水マシン



だったのです。


日建設計のブースに展示してある多孔質の陶器製の管で、この中に水を通すことでじわじわと

しみ出し、その気化熱で管の表面はひんやりと冷たくなってます。


これを「土のすだれ」のように超高層ビル全体をすっぽり覆うようにすると、ビルの周囲の気温

が2℃下がることが、実験や熱流体解析(CFD)の結果、明らかになったとのことです。


こんなビルが街中にできれば、道路や広場ななどの平面上での打ち水だけでなく、

打ち水の“3D効果”も期待できてヒートアイランドもかなり緩和されそうですね。



日建設計ブースに展示されている「土のすだれ」の実物大モックアップ(左)とCFDによる解析結果など(右)


触ってみるとひんやりと冷たい(左)。日建設計ブースでは展示台も土をセメントと混ぜて作った(右)




竹中工務店ブースでは面白い3Dシステム「DESKRAMA」を展示。模型の同社社屋を3Dモデル化してあり、図面上に置かれたモニターの位置を変えることにより、モニター部分で切断された断面を見ることができる


当日はトークセッションが開催され、会場は立ち見も出る大盛況。清水建設、竹中工務店設計部、山下設計、安井建築設計事務所が自社のプロジェクトの歴史やデザイン、技術などについて発表した。最後には馬場璋造氏のコーディネートでパネルディスカッションも行われた

また、竹中工務店設計部のブースでは、「DESKRAMA」という面白い3Dシステムが展示

されていました。


同社の東京本社社屋を3次元モデル化し、好きなところで立断面が見られるものですが

面白いのは



モニターで図面を“切る”



ようにして断面図を表示させるところです。


平面図の上に置かれたモニターの位置や角度を変えると、モニター表面の位置や角度

で切断された断面図が瞬時に画面に表示されるようになっています。


これだと、3DCADやVRに不慣れな人でも、直感的に好きなところの断面図を表示させ

られるので、模型に代わるプレゼンテーションシステムとして使えそうですね。


このほか、会場を訪れた11月24日(月、祝)はトークセッションが開催されました。

出展社からあみだくじで選ばれた清水建設、竹中工務店設計部、山下設計、安井建築設計事務所

の設計者が実際のプロジェクトについてナマの声で語りました。


当日の天候は午後から雨になったにもかかわらず、会場は立見場所でさえ立錐の

余地がないほどの超満員の人気ぶりでした。


12/14(日)は日建設計、戸田建設設計統轄部、三菱地所設計、大成建設、

1/11(日)は日本設計、大林組、松田平田設計、1/18(日)は久米設計、佐藤総合計画、

KAJIMA DESIGN、石本建築事務所によるセッションがそれぞれ開かれます。


この展覧会は2009年1月25日まで開催されています(観覧料は一般800円)ので、

ご興味のある方は、ぜひどうぞ!