ここ十数年の間にすっかり定着した感がありますね。
面白いことに東京では「右空け」、大阪では「左空け」と、空ける位置が違いますが、“国際標準”
的には大阪の方が合っていると言えるかもしれません。
では、あなたはエスカレーターに乗るとき、立つのか、歩くのか、どちらを選びますか。
実は、この選択には、お国柄が非常に強く反映されているのです。
中国の上海では、立つ人と歩く人がほぼ半分ずつなのに比べて、
スペインのバルセロナでは、ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、
88%の人が「立つ」
のだそうなのです。
このデータは、11月19日に東京・品川で開催された「第2回国際VRシンポジウム」で
英国グリニッジ大学のエド・ガリア教授が発表しました。
ガリア教授は、群衆の火災時の避難行動などを解析する「Exodus(エクソダス)」というソフトを開発
しています。
火災などで避難するとき、イメージしがちなのは群衆が「パニック」に陥って、出口に殺到するといっ
たシーンですが、実際には煙が迫ってきてもじっとしていたり、指示をまっていたりするそうです。
エスカレーターに乗るとき、立つのか歩くのか、それとも階段を使うのかというデータを定量的に
把握しておくことは、各国の施設を安全に設計するためには非常に重要なことなのです。
「Exodus」によるエスカレーターや階段による群衆の動きの解析
第2回国際VRシンポジウムで講演するガリア教授(左)と会場を埋めた参加者
各国のエレベーターや階段の使い方を調査するホームページ(http://fseg.gre.ac.uk/elevator/)
11月20日に行われた「3D・VRシミュレーションコンテスト」のグランプリ賞を受賞した自動車事故対策機構の「CGシミュレーションを用いた模擬運転診断システム」(左)と、準グランプリ賞を受賞した大阪大学の「堺市 大小路LRT計画VRデータ」(右)
準グランプリ賞を受賞した大阪大学チーム
はたして、日本は立つ人、歩く人、どちらが多いのでしょうか。ガリア教授は
ホームページ(http://fseg.gre.ac.uk/elevator/)で、各国の行動パターンを調査しています。
全部で400人ほどが回答したそうですが、日本人はまだ30人ほどしか完全に回答した人が
いないので、
ぜひ、協力してほしい
と呼びかけました。
英語ですが、クリック式で20分くらいで答えられるので、日本の構造物の安全性向上の
ために、「協力してやろう」と思われる方、ぜひ、回答をお願いします。m(__)m
翌、11月20日は同じ会場でフォーラムエイト主催の「第7回 3D・VRシミュレーションコンテスト」
が行われました。
同社のVR(バーチャルリアリティ)ソフト「UC-win/Road」を使って解析やシミュレーションを
行った12作品が日本のほか、米国やトルコ、中国、韓国からノミネートされ、会場を埋め尽くした
200人近い参加者と、3人の選考委員により投票が行われました。
見事、グランプリに輝いたのは自動車事故対策機構の「CGシミュレーションを用いた
模擬運転システム」というもので、街並みやコースを再現し、インターネットでゲームのように
コースを走ることで、運転者の「安全エコ運転度」や「思いやり運転度」などを採点し、
アドバイスが受けられるという面白いシステムです。
もはや、VRはまちづくりのシミュレーションだけでなく、その上を走るクルマから見た
安全性や歩行者の見え方、クルマ社会といったものも追体験できるほど、進化し
ていることが、今回の受賞からもわかりました。
まちづくりに関わる発注者やコンサルタントなどの技術者は、VRの活用について、
真剣に考えた方がいいかもしれないと思った次第です。
【訂正】
初出時に、「エスカレーター」と書くべきところを、「エレベーター」と誤って記していました。訂正します。
(2008年11月21日 12時10分)