建設業だけでなく、最近はIT業界でも「工事進行基準」というキーワードをよく耳にします。

長期の工事に対する工事費を完成時にまとめて払うのではなく、その時々の進捗度に

応じて支払うものです。


ところが、膨大な作業からなる工事がいま、何パーセント完成しているのかを正確に

把握し、発注者に説明するのはなかなか難しいのではないでしょうか。


そんなとき、工事の進捗状況を詳細なデータに基づき、一目瞭然でわかるソフト

が建設業でも使われ始めています。



ナ、ナ、ナ、ナ、ナント、



3DCADと工程管理ソフト



を連動させるものなのです。


昨日、東京で開催されたベントレー・システムズ主催の原子力プラント業界向けのセミナー

で発表された「ConstructSim」というソフトです。


「ConstructSim」によってプラント工事の進捗状況を色分けして示した例(画像:ベントレー・システムズ)


「ConstructSim」について講演した米国ベントレー・システムズ社のアンディ・オズボーンさん(左)とセミナー会場の様子(右)

このソフトは、建物や配管プラントなどの3次元モデルの各部品に「時間」に関する属性を付け、

Primavera」などの工程管理ソフトや、資材管理システム、プロジェクト管理データベース

などと連動させるものです。


例えば、「ボイラーの設置」という作業は、工程管理ソフトの中では「一つのイベント」として

扱われますが、その中にはさらに数多くの配管部材を取り付けたり、ボルトを何百本と締め付

けたりと、細かい作業や必要な部材が存在します。



このソフトは、もともと米国のNASAの



火星探査プロジェクト



において、すべての情報を統合し、可視化するソフトとして開発されたものが原型とのことです。


ConstructSimでは、「一つのイベント」を「WorkPack」という作業の集合体として扱い、

その中の細かい作業や部材のコストや時間が現在、どのような状況にあるのかを管理します。


例えば、ある機器について「現場に到着したか」、「配管接続が可能な状態になったか」、

などの情報を逐一、管理できるのです。


その情報は工事進行基準用のレポートに利用できるほか、3次元画面の中でいろいろな

切り口で色分けして見られます。プラント工事だけでなく、建築や土木にも使えるとのこと。


これまで、海外の工事55件に使用されたそうですが、工程管理をわかりやすくすることで、

直接工事費を7~10%、総工費を1~5%節減した実績があるそうです。


工事進行基準が本格的に適用されると、3次元に「時間」と「コスト」の次元を加えた

「5次元ソフト」が、日本の建設現場でも普及するかもしれませんね。