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[建築・土木] 紙図面を圧縮データ化!「Plot Share One EX」を使ってみた

2006/09/04

建設業のIT化が進む中、電子化されたCAD図面のネットワーク上での流通、利用が盛んになってきている。一方、従来の紙図面も、スキャンして電子化することにより、CAD図面と同様にネットワークに乗せて活用するニーズが高まっている。そこで発売されたのが紙図面を高度に圧縮し、データ化するソフト「Plot Share One EX」だ。圧縮、解凍を繰り返しても画質が劣化せず、大判の図面でもWEBブラウザや電子メールで手軽に扱えるのが売り物だ。このソフトを、建設会社の実務を担当する技術者に使ってもらった結果をお伝えしよう。

【今回の製品】
Plot Share One EXセイコーアイ・インフォテック
【今回の実験隊】
 宮本 勝則氏(みらい建設工業
スキャンした大容量の紙図面や画像、地図のデータを大幅に圧縮するアプリケーションソフト。図面などを「ビューイングファイル」という高圧縮のファイルに変換しInternetExplorerによって閲覧できるようにする。同時にTIFF形式やPDF形式にも変換できる。定価は19万8000円(税別) 約24年にわたり現場施工管理や情報化施工、CAD・CGや原価管理などの業務システムならびに基幹・情報系システムの企画・構築などに従事。


はじめに

ネットでのCAD図面のやりとりが盛んな時代に

紙図面の電子化と活用を検証する


建設業のIT化(以下、建設IT)やネットワーク化が進む中、図面においても従来の紙でのやりとりに代わり、電子化されたCAD図面のネットワーク上での流通、利用が盛んになってきている。

建設現場では発注図から設計変更図や施工図、そして成果品としての納品される完成図までCAD図面を流通することで業務の効率化を図るとともに、維持管理・更新の場面での利活用が期待されている。企業内においても書類の文書管理と同様に、ノウハウの蓄積と活用のために図面の効果的な保管管理が喫緊の経営課題とされている。

今回は、上記解決策の一つとしてセイコーインスツル株式会社(略称:SII)の関連会社の株式会社セイコーアイ・インフォテックから登場した、ネットワーク上でのワークフローによるシームレスなファイル変換、配信・共有連携機能を持つ製品「Plot Share One EX」について実際にネットワーク上で環境を構築し検証したので以下に報告する。

効果的な図面管理を実施する場合の留意点として、品質(圧縮性能/閲覧性/利用性)、流通・共有(汎用性/拡張性/継続性)、管理コスト(導入/運用)の3つを挙げた。


品質(圧縮性能/閲覧性/利用性)

鮮明な図面画像をストレスなく閲覧できるか

PDFの圧縮率を上回るUCV形式


図面を共有し利用する場面では、編集して再利用するというよりは、鮮明な画像をストレス無く閲覧できる高視認性が望まれる。また、ネットワークや媒体を介し簡単にやりとりができる、高圧縮された小さなファイル容量であることが必要となる。

本ソフトのファイルの保存形式(記録方式)として、一般的なPDFやTIFF、そして国内で開発されたUCV※1が利用できる。

※1 UCV(Ultra Compress Vector)とは、図面や地図をイメージで読み取り、要素を特徴点(効率的に表現できる変化点)と遷移量からなるベクターデータを高速かつ高圧縮(ベクター圧縮)したファイル形式。可逆圧縮方式なので復元する場合、圧縮したデータの特徴点や遷移量から線分を復元し、エリアの塗り潰しを行うため非常に精度の高い復元が可能。
参考URL: http://www.venture-wave.com/products/engine01.html

最近、建設ITの進展に伴い現場事務所でもデジタル複合機(コピー/プリンタ/プロッタ/スキャナ/ファックス)を導入しネットワーク環境でデータを電子化し共有する場合が増えてきた。

図面の電子化に関する一般機能として、紙図面をコピー感覚で読み取り、PDF、JPEG、TIFF或いはメーカ独自の形式に変換し、ネットワーク上PCの任意のフォルダに送信、保存することが必要である。

本ソフトの『Plot Share One EX』は、メーカ専用のデジタル複合機のスキャナでなくても、普及しているドライバの「TWAIN」に対応したスキャナであれば利用可能である。

ソフトがインストールされたPC側で、あらかじめルート設定や処理手順を設定しておくことで、読み取られた際に画像データを所定のフォルダに決められた形式で受信し自動的にデータ処理(TIFF→PDF変換)し、複数のPCやプロッタ、プリンタへ出力配信・出力(XPR出力/LPR出力/FTP転送/指定フォルダ配信)することができる。

図面管理用のメインコンソールとワークフロー設定画面


一般的に長尺や大判の紙図面のスキャニングに関しては、データの容量、ソフトの制限、データの扱いやすさ(ハンドリング)などを考慮し、A3に縮小或いは分割してスキャニングして対応しているのが現状である。

本ソフトではA0版の長尺10mまでカバーしているので、例えば、60cm幅で2.5mの現況図に書き込まれた計画図を600dpiで読み取ってみた。TIFF形式だと16.8MBだったデータ容量がUCV形式に変換すると、23%の3.8MBに圧縮された。仕様によると、図面内容によっても異なるがTIFF形式に比べて、データ容量は20〜50%程度まで減らすことができるようである。

次に、スキャナで読み取った土工重機の一覧図のTIFFファイル(122KB)を本ソフトで変換処理し、UCVファイルと、PDFファイルを作成した。作業手順や間隔(分単位)を設定しておくと自動的に変換してくれた。

元ファイルを別のフォルダに格納できるので不測の場合でも安心である。変換時間も殆どストレス無く高速であった。圧縮率はUCV(39KB)が32%、PDF(51KB)が42%となった。また、下図に示すように、UCVファイルと、元ファイルのTIFFファイルとPDFファイルを同じ部位で拡大し比較すると劣化していないことが分かる。

元画面を全体表示させたところと、一部、拡大した画面。(TIFFファイルで122KB)


3種類のファイル形式でデータ容量を比較してみた。上:Adobe Acrobat画面(PDFファイルで51KB)、左:イメージ拡大画面(TIFFファイルで122KB) 、右:Plot Share One画面(UCVファイルで39KB)

一般的に青焼きや日焼けした紙図面をスキャニングした場合、どうしても汚れのようなノイズが発生する。そういったゴミについても消すべき点や線の濃さや劣化を自動判別し削除してくれる機能も持っている。

以上から、図面の品質確保に必要な機能を一応備えており、採用しているUCV形式についても概ね高速で高圧縮、高品質と評価できる。しかしながら、現在はカラー未対応であり、用途によっては機能不足となる。(次のバージョンで対応予定のようである)


流通・共有(汎用性/拡張性/継続性)

ブラウザで図面を閲覧できるWEB公開システム

今後のUCV形式の普及が課題に


本ソフトでは、スキャナで読み取った紙図面や地図などを、「ビューイングファイル」として高圧縮のUCVファイルとそのサムネイルを作成し、ブラウザ(InternetExplorer)で閲覧できる図面のWeb公開システムが用意されている。

事例として重機一覧を取り込むと、次の図のようにブラウザでサムネイルを確認でき、容易に関係者間でファイルを共有することができた。しかしながら図面を検索する機能が無いのが残念である。

図面をWeb公開する画面でのサムネイル表示


本ソフトを採用する場合の課題として、担当者はこのUCVというファイル形式が建設業を含め市場で一般的な形式になるのかどうか気になるところである(TIFFを取り込んでUCV形式に圧縮するのでTIFFの元ファイルを保存しておくことで不測の事態は回避できる)。

もし、SIIの企業力で業界標準に向けた活動(業界・発注者への標準化への働きかけ)と、継続的なソフトの拡張および付随サービス・保守を推進するならば、UCVへの信頼性と安心感が高まり、利用者は採用する可能性がある。とりあえず、現状ではデファクトスタンダードのPDFとの共存、棲み分けができるかが焦点となる。


管理コスト(導入/運用)

導入費用はソフト代の19万8000円

日本生まれのUCV形式の展開に期待したい


導入費用は、定価198,000円(税別)である。マニュアルを一読すれば、さほどの手間はかからないので購入費イコール導入費と言っていいだろう。運用費についてもUCVE(エンジン)のライセンスはこの購入費以外は掛からないし、プラグイン・ビューワも複数台のPCに無償で提供されている。UCV形式を利用したい人には安価と言える。

ライセンス料に関しては、最近になって大手ソフトメーカが無償であったものを有料化する方向にある。今後、利用者にとっては大きな負担になる要素と考えられる。過去に標準形式のJPEGに代わる画像圧縮技術としてJPEG2000やDjVu(デジャヴ)などを検討したことがあった。

結果的にそれが高圧縮、高品質であっても、先に述べた標準化の問題と、そのライセンス料の問題が解決できずに立ち消えになった。そういった経験から予測すると、UCVEもライセンスフリーに近い形の仕組みにならないと普及しないのではないのだろうか。

しかしながら、本ソフトでのUCVに関するライセンス料は安価に設定され意欲的であり企業努力が見られ、そして何よりも珍しく"日本生まれ"なので今後の展開に期待したい。


おわりに

有望な製品だが、標準化による普及が課題に

多くの人が利用すれば図面流通の効率化に寄与


標準化による普及とライセンスの課題を解決できれば、本ソフトは有望なプロダクトであり、UCVEは圧縮エンジンである。

本プログラム及びUCV形式の利活用場面として、ASPによるトランクサービスや企業内の工事実績情報システム、エクストラネットでの情報共有システムに実装されるならば図面流通の効率化に寄与すると思われる。

また、UCV形式は図面同様に写真、文書にも有効と考えられ、トレンドの文書管理システムに搭載し、安価な初期費用だけでライセンス数を無制限にするなどの戦略的に利用向上策を採るならば、UCV技術のメリットを数多くの人が享受できるので期待したい。


■実験隊によるPlot Share One EXの評価 (各項目とも 5:非常に優れている 3:平均 1:全然ダメ)

評価項目 評価の視点
スグレモノ度 製品自体がもつ機能、性能の評価
お役立ち度 製品を業務に導入したときの省力化、効率化の評価
おトク度 機能、性能に対する価格の評価
とっつき度 使いこなせるようになるまでの手間と時間の評価
ユビキタス度 他のシステムとの連携、互換性の評価
おすすめ度 業界内の知人に薦めたいかどうかの評価



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「建設IT実験隊」のコーナーで取り上げてほしい建設IT関連製品のリクエストをお待ちしています。メーカーからの製品提供のお申し出も歓迎します。ご希望がありましたら、コメント欄またはメールでお気軽にお知らせください。

家入 龍太

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