右に立山連峰、左に日本海

 富山駅から先は、進行方向右手の車窓に冠雪した立山連峰が広がる。これまでほぼ平坦だった線路は次の黒部宇奈月温泉駅に近づくにつれて次第にアップダウンが増え、北陸新幹線最急勾配の30‰(パーミル、1000分の30)区間も出現するが、軽快な走りからは勾配の存在にはなかなか気づかない。最も立山連峰に近づくのは、黒部宇奈月温泉駅の付近。駅ホームの窓からも雄大な景色が望めそうだ。

富山駅から黒部宇奈月温泉駅に向かうにつれ、右手の車窓には立山連峰の雄大な景観が広がる(写真:小佐野カゲトシ)
富山駅から黒部宇奈月温泉駅に向かうにつれ、右手の車窓には立山連峰の雄大な景観が広がる(写真:小佐野カゲトシ)
富山駅から黒部宇奈月温泉駅に向かうにつれ、右手の車窓には立山連峰の雄大な景観が広がる(写真:小佐野カゲトシ)

 車窓に広がる立山連峰を楽しめるのは、黒部宇奈月温泉駅を出て約4分ほどの朝日トンネルに入るまで。北陸本線や国道8号、北陸自動車道が海岸沿いの崖にへばりつくように走り、北陸の難所として知られる「親不知・子不知」の海岸付近は、延長7570mの同トンネルを含む5本のトンネルで走り抜ける。トンネル同士の間が短い区間はシェルターで覆われているため、実感としては3つのトンネルに見える。 

北陸自動車道をまたぐ区間の運転席からの展望。右側に見える2つのトンネルが北陸自動車道(資料:JR西日本)
北陸自動車道をまたぐ区間の運転席からの展望。右側に見える2つのトンネルが北陸自動車道(資料:JR西日本)

 4つ目(実感としては2つ目)のトンネルを抜けると、線路は北陸自動車道をまたぎ越す。車窓からでは他の高架橋と見分けがつかないが、海岸から約600mしか離れていないため、塩害への対策として世界で初めて「ニッケル系高耐候性鋼(Ni鋼)」を採用したという長さ393mの「北陸道架道橋」だ。糸魚川駅は今回の開業区間で最も海に近い駅で、日本海から駅まで約400mの距離。左手の車窓やホームからも海が見渡せる。

糸魚川駅付近の車窓。左手には日本海が広がる(写真:小佐野カゲトシ)
糸魚川駅付近の車窓。左手には日本海が広がる(写真:小佐野カゲトシ)