“豪雪対策”の高架とトンネルの連続
新幹線開業後は第三セクターの「IRいしかわ鉄道」として経営分離される北陸本線を左手に見ながら、時折ゆるやかなカーブが現れる高架線上を滑らかに加速し、金沢駅を出て4分ほどで列車は最初のトンネルに突入する。
今回の開業区間は、工事延長約231.1kmのうちトンネルが計103.1kmと全体の約44%を占め、次いで高架区間が全線の約40%にあたる92.4km、橋りょうが約14%にあたる31.7kmと、全線にわたってトンネルと高架の連続だ。
高架橋は線路の部分が一段高くなった構造となっている。これは冬期の積雪対策として、線路上に積もった雪を列車や除雪車で線路脇のスペースに除雪する「閉床式貯雪型」と呼ばれる構造だ。金沢─長野間は全区間にわたって積雪の多い地域のため、この「閉床式貯雪型」が高架橋の基本形態となっている。
閉床式貯雪型でも、高架橋の外に雪を落とすことができない市街地などでは、左右のスペースに融雪パネルを設けたり、幅を広げて貯雪量を多くしたりと、周辺環境に合わせて構造を変えている。
また、高架周辺に雪を落とすスペースが確保されている区間では「半雪覆式貯雪型」と呼ばれる、高架橋側面の防音壁の上部に斜め内側を向いた雪よけを設けた構造や、この外側に「投雪ガイド板」を設け、積雪量が貯雪能力を越えた場合にはロータリー車で外側に投雪する「側方開床式貯雪型」が見られる。このほか、特に豪雪地帯として知られる飯山・上越地域やポイントの周辺では、スプリンクラーを使った「散水消雪型」を採用している。
トンネルは特に長野県内と新潟県内に多く、両県をまたぐ飯山トンネルは延長22km251mと、今回の開業区間で最も長い。同トンネルは日本の鉄道トンネル全体でも、青函トンネル(53km850m)、東北新幹線の八甲田トンネル(26km455m)、岩手一戸トンネル(25km808m)に次ぐ4番目の長さを誇る。