東日本大震災で津波被害を受けたJR石巻線が2015年3月21日に全線開通する。不通となっていた浦宿―女川駅間(延長2.3km)で、復旧工事完了の見通しが立ったことから、宮城県女川町とJR東日本が12月8日に運転再開を発表した。

 被災した女川駅の駅舎や線路は、5~7m程度かさ上げした地盤上に整備。地盤のかさ上げは、女川駅と女川トンネルを結ぶ約500mの区間で行った。駅舎は内陸側へ200mほど移設し、町営の温泉施設を併設する。地盤のかさ上げや駅舎の建設は女川町が担い、線路などの整備はJR東日本が手掛ける。15年2月に完成を予定している駅舎とその土地は女川町が所有し、一部をJR東日本に賃貸する。

JR石巻線の女川駅周辺の復旧工事の様子。中央の白色の切り妻屋根の建物が女川駅。2014年11月撮影(写真:JR東日本)
JR石巻線の女川駅周辺の復旧工事の様子。中央の白色の切り妻屋根の建物が女川駅。2014年11月撮影(写真:JR東日本)

 JR石巻線は小牛田―女川間の全長44.7kmの路線。震災で全線不通となったが、1カ月後の11年4月から段階的に運転を再開し、13年3月までに小牛田―浦宿駅間が開通した。残る浦宿―女川駅間は、女川町の復興まちづくりと一体となった復旧に取り組んできたため、他区間に比べて運転再開に時間がかかった。

 女川町とJR東日本は13年2月1日に浦宿―女川駅間の復旧に関する覚書を締結。被災市街地復興土地区画整理事業などを活用して、土地の造成や施設の整備を進めてきた。女川駅の駅舎や線路の復旧も、周辺のまちづくりに合わせて移設やかさ上げを行った。開通日も女川町が計画している駅周辺のまちびらきに合わせて設定した。

宮城県女川町の中心部の土地利用構想図。2014年12月5日に改定した最新の町復興整備計画から抜粋。女川駅は周辺のまちづくりと一体で整備を進めている(資料:宮城県女川町)
宮城県女川町の中心部の土地利用構想図。2014年12月5日に改定した最新の町復興整備計画から抜粋。女川駅は周辺のまちづくりと一体で整備を進めている(資料:宮城県女川町)