安倍晋三首相は、常磐自動車道全線を当初の予定より約2カ月早い15年3月1日に開通させる方針を、衆院総選挙の公示日である12月2日に福島県相馬市での街頭演説で表明した。この発言に対して、常磐道を整備中の東日本高速道路会社は同日、「全力を挙げて取り組む」と応じた。

 東日本高速はこの12月6日に、延長18.4kmの常磐道浪江インターチェンジ(IC、福島県浪江町)─南相馬IC(同南相馬市)間と、23.3kmの相馬IC(同相馬市)─山元IC(宮城県山元町)間の開通を予定している。残る延長14.3kmの常磐富岡IC(福島県富岡町)─浪江IC間は、福島第一原子力発電所に近接しているため、東日本大震災発生後の工事の再開が最も遅れた。同社が11月25日に常磐道の整備状況を発表した時点では、15年春の大型連休前に開通する予定としていた。

 同社広報課は12月2日、常磐道全通の前倒しに関する安倍首相の発言について、「報道により承知している」としたうえで、次のようにコメントした。「これまでも厳しい工程のなか、工事の促進に取り組んできているところだが、さらに工程を精査したうえで、総理が発言で表明した時期の開通の実現に向けて、全力を挙げて取り組む」。

 浪江IC─南相馬IC間と相馬IC─山元IC間の開通時期も、首相の発言を受けて、「14年度内」から「14年内」に、さらに14年12月6日に前倒しとなった経緯がある。

■常磐道の開通予定時期
地図上の赤い部分は帰還困難区域。東日本高速道路会社の資料に日経コンストラクションが加筆
地図上の赤い部分は帰還困難区域。東日本高速道路会社の資料に日経コンストラクションが加筆