会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所が築造したボックスカルバートの設計ミスを不当事項として指摘した。カルバートに作用する鉛直土圧を計算する際に、基礎工事として実施した地盤改良の影響などを考慮しないで鉛直土圧を過小に算定。そのまま設計・施工を進めた結果、強度が足りない構造物が出来上がってしまった。所要の安全度を確保できておらず、工事費1721万3000円が不当であるとした。

 指摘の対象は、同事務所が2011年度から12年度にかけて和歌山県田辺市で実施した「近畿自動車道紀勢線中万呂地区函渠他工事」だ。近畿自動車道紀勢線の盛り土区間で遮断される既存農道をアンダーパスで通すために、土工事や地盤改良工事、ボックスカルバート築造工事などを行った。

 問題のカルバートは延長68.6mで、外側断面は高さ7.5mで幅7m。内側断面は高さ5.1m、幅が5m。現場打ちの鉄筋コンクリート製で、全体を第1ブロックから第6ブロックまで6区間に分けて構築した。基礎は、セメント安定処理による地盤改良(幅9.0m、深さ2.1m)をカルバートの全延長にわたって施した。

ボックスカルバートの側面概念図(資料:会計検査院)
ボックスカルバートの側面概念図(資料:会計検査院)

 設計は、同事務所が建設コンサルタント会社に委託。日本道路協会の「道路土工 カルバート工指針」(以下、指針)などに基づき、最大土かぶり厚などを考慮しながら、ブロック単位で設計した。