2013年度会計検査報告
目次
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設計で基準改訂を未反映、下水道施設の耐震対策
自治体などが下水道事業で整備した48施設が、耐震対策の基準改訂を設計に反映していなかった――。2013年度の「決算検査報告」で、会計検査院が国土交通省や自治体などに改善処置を求めた事案の一つだ。問題視されたのは、構造物の基礎杭と躯体底版との結合方法。多くの施設が改訂後の現行基準に従っていなかった。
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現況と違う条件で水路を設計、安全度不足の構造に
会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、広島県福山市がため池改修事業で築造した放水路の設計ミスを指摘。安全度不足による不当事項とした。応力計算での条件設定ミスや配筋図作成時における転記ミスなど、複数のミスが生じていた。
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「見える部分だけ」の伸縮目地、擁壁にひび割れ
会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、大阪府富田林市が実施した擁壁築造工事について「施工が著しく不適切」と指摘し、不当事項とした。擁壁に設けた伸縮目地の施工に手抜かりがあり、完成した擁壁にひび割れが生じていた。
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工法変更したのに積算そのまま、工費は割高に
施工方法を変えたのに積算を見直さなかったため、最終的な工費が割高になってしまった――。会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、千葉県が実施した直立消波ブロックの補修工事についてこのように指摘し、不当事項とした。問題視されたのは、ブロックに運搬用の吊り金具を取り付ける工事だ。
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沈砂池の一部が強度不足、堆積土砂の土圧を未考慮
会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、長崎県が農業基盤整備事業で築造した沈砂池の設計ミスを指摘。沈砂池内部に設けた排水設備が強度不足であり、排水設備が損壊した場合は沈砂池そのものが機能を果たせなくなる恐れがあるとした。そのうえで、沈砂池の整備に掛かった工費約484万円のうち、補助金に相当する…
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橋台の設計で応力計算を間違えて安全度不足に
会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、大分県が実施した橋梁工事の設計ミスを指摘。所要の安全度を満たしていないとして、この工事を不当事項とした。設計に際して、地震発生時に落橋防止構造を介して橋台の胸壁に掛かる応力を実際よりも小さく算定していたからだ。
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基準を間違えて応力計算ミス、発注者も気付かず
適用すべき基準を間違えて配筋計画を誤り、完成したカルバートが所要の安全度を満たさない状態に――。会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、埼玉県が排水路工事で築造したボックスカルバート(以下、カルバート)についてこう指摘し、不当事項とした。この工事は、同県が11年度から12年度にかけて、農林水産…
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アンカーの保持部材が軒並み施工不良
会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、島根県大田市が実施した市道歩道部の拡幅工事を不当事項とした。路体を支える土留め壁が、ずさんな施工によって設計と大きく異なっていたと判断したためだ。問題の工事は、同市が市道二中前線の道路改良事業の一環として市内久手(くて)町で実施したもの。既存市道の歩道部…
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見落としと配筋図のミスで強度不足に
会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、静岡県と山梨県がそれぞれ実施した農業用貯水施設の整備事業を不当事項とした。設計時に応力計算などを間違えて、構造物が強度不足となっていたからだ。指摘を受けたのは「ファームポンド」と呼ばれる施設で、掘削した地盤上に構築した升状の構造物。
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法面吹き付けで繰り返される粗雑工事
法面のモルタル吹き付けが粗雑で、設計と著しく異なっていた――。会計検査院の「決算検査報告」では、過去にも繰り返して同種の指摘例が取り上げられた粗雑工事の典型だ。この“定番中の定番”が、またしても2013年度分の検査報告に登場した。同院が不当事項として指摘したのは、山梨市が国土交通省の国庫補助金を受け…
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埋設管の「食い込み」で舗装厚が不均一に
会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、千葉県袖ケ浦市が市道の地下に整備した雨水管の設計ミスを指摘し、不当事項とした。雨水管に設けた勾配によって、上流側では管の一部が路盤下層に食い込み、埋め戻し後の道路の一部が所定の舗装厚に満たない状態になってしまった。
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根入れ深さが足りず、洗掘に弱い護岸に
会計検査院がまとめた2013年度の「決算検査報告」から、護岸工事で生じた設計ミスの事例を2件紹介する。いずれも護岸の根入れ深さが不足していた事例で、それぞれ不当事項と判断された。
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「鉛直土圧係数」を間違えて土圧を過小に算定
会計検査院は2013年度の「決算検査報告」で、国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所が築造したボックスカルバートの設計ミスを不当事項として指摘した。カルバートに作用する鉛直土圧を計算する際に、基礎工事として実施した地盤改良の影響などを考慮しないで鉛直土圧を過小に算定。そのまま設計・施工を進めた結…
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設計変更の影響を見落として擁壁が強度不足に
アンカー付き山留め式擁壁の建設で、工事契約締結後に行った設計変更を反映しなかったために、所定の安全度が満たされていなかった――。会計検査院がまとめた2013年度の「決算検査報告」で、熊本県山鹿市が不当事項と指摘された事例だ。
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「設計地下水位」の設定を誤り、安全率を満たさない排水路に
会計検査院は11月上旬、2013年度の「決算検査報告」を政府に提出した。このなかから土木分野に関する事案を幾つか紹介する。まずは排水路の建設工事で生じた設計ミス。長野県と島根県がそれぞれ国庫補助を受けて実施していた工事で、両県とも同様のミスをしていた。