仙台市交通局は11月18日、地下鉄東西線の建設事業に関して、2015年12月6日の開業を目指すと発表。今年3月末までに本体土木工事が完了し、その後進めてきた軌道や建築・設備、電気などの工事に一定の見通しがついたことから、これまで2015年度中としてきた開業時期について、目標日を明らかにした。

東側のターミナル駅である荒井駅の今年11月時点(写真:仙台市交通局)
東側のターミナル駅である荒井駅の今年11月時点(写真:仙台市交通局)

 同線は、若林区に設ける荒井駅と太白区の八木山動物公園駅を東西に結ぶ工事延長約14.4kmの路線で、建設費の総額は2298億円。駅数は13駅で、仙台駅で既存の地下鉄南北線と連絡する。

地下鉄東西線のルート図と工法・構造(資料:仙台市交通局)
地下鉄東西線のルート図と工法・構造(資料:仙台市交通局)

 東西線の建設で市は03年に鉄道事業許可を取得し、06年秋に本体土木工事に着手。一部のトンネル工区が貫通済みだった11年3月に東日本大震災が発生し、各工区ではそれぞれ3~6カ月の範囲で工事が中断した。構築中の施設に被害は少なかったが、その後、被災地全体の復旧・復興に伴ってマンパワーや資材の確保で困難に直面。そうしたなかで13年7月にトンネル全線が貫通した。

鉄輪式リニアモーターカーを採用する東西線はトンネル断面が内径約4.8mと、従来の電車方式による南北線(同じく約5.8m)よりもコンパクト。写真は仙台駅-青葉通一番町駅間のトンネル区間で、今年8月時点の様子(写真:仙台市交通局)
鉄輪式リニアモーターカーを採用する東西線はトンネル断面が内径約4.8mと、従来の電車方式による南北線(同じく約5.8m)よりもコンパクト。写真は仙台駅-青葉通一番町駅間のトンネル区間で、今年8月時点の様子(写真:仙台市交通局)

 トンネル区間の大半はシールド工法で構築。部分的にNATM工法を、ごく一部で開削工法を用いている。車両は、鉄輪式リニアモーターカーを採用。動力にリニア誘導モーターを用いてレール上を車輪で走行する駆動方式の車両だ。従来の電車車両による路線よりも施設をコンパクトにできるので、建設費の抑制効果を見込めることがメリットと言われる。東西線のトンネル断面は内径約4.8m(軌道1本)で、従来型の南北線よりも1mほど小径だ。このタイプの地下鉄路線は既に国内で、都営地下鉄大江戸線や横浜市営地下鉄グリーンラインなど、都市部で複数の建設例がある。

「広瀬川橋りょう」は、連続する「西公園高架橋」とともに2013年度土木学会田中賞を受賞。写真は昨年夏頃の様子(写真:仙台市交通局)
「広瀬川橋りょう」は、連続する「西公園高架橋」とともに2013年度土木学会田中賞を受賞。写真は昨年夏頃の様子(写真:仙台市交通局)

 また東西線では、大町西公園駅-国際センター間に架かる「広瀬川橋りょう」および「西公園高架橋」が、今年6月に13年度土木学会賞田中賞を受賞。自治体発注の鉄道橋としては全国では3例目の受賞となった。広瀬川橋りょうは橋長172mの3径間連続プレストレストラーメン箱桁橋、西公園高架橋は同118mの鉄筋コンクリートスラブ式ラーメン高架橋で、13年9月に完成している。