首都高速道路会社は9月24日、東京都と共同で事業を進めている中央環状品川線に関し、2015年3月に開通させると発表した。同線は目黒区の大橋ジャンクション(JCT)と品川区の大井JCTを結ぶ延長約9.4kmの区間。中央環状線は総延長約47kmのうち既に約37kmが供用中で、品川線の開通によって全線が開通することになる。首都圏で整備中の3環状道路で、初めての「リング」が完成する。

首都圏3環状道路の最も内側にある中央環状線は、都心から半径約8kmの位置にある(資料:首都高速道路会社)
首都圏3環状道路の最も内側にある中央環状線は、都心から半径約8kmの位置にある(資料:首都高速道路会社)

 新宿・渋谷エリアや関越自動車道・東北自動車道方面から羽田空港へのアクセス向上が見込まれており、首都高の試算では例えば新宿―羽田空港間で従来の約40分が半分の20分に短縮できるという。

大井JCTでは、首都高速湾岸線(写真の左手前)と接続(写真:首都高速道路会社)
大井JCTでは、首都高速湾岸線(写真の左手前)と接続(写真:首都高速道路会社)

 品川線は大橋JCTで首都高速3号渋谷線に、大井JCTでは首都高速湾岸線に接続する。延長約8.4kmがトンネル構造で、接続する新宿線の山手トンネルと合わせて約18kmと、日本最長の道路トンネルが誕生する。車線数は往復4車線。中間に入り口1カ所(五反田)と出口2カ所(中環大井南、五反田)、換気所を4カ所(中目黒、五反田、南品川、大井北)設けている。

五反田出口分流部の現場。8月末時点(写真:首都高速道路会社)
五反田出口分流部の現場。8月末時点(写真:首都高速道路会社)

 2本の本線トンネルはそれぞれ直径12m超の大断面シールド1基で長距離掘進、分岐・合流部では連結路と本線のシールドトンネルを地中でつないで1断面に合体、大井北たて坑から大井JCT付近までの区間ではシールド機を地上発進・Uターンしての地上到達といったように、技術的にも注目ポイントが多い工事だった。全体の工事過程では、切り開き部工事の開削などでの度重なる出水といったトラブルにも見舞われ、首都高は13年4月中旬に当初13年2月末までとしていた工期の1年延長を発表していた。

本線シールド部の現場。7月末時点(写真:首都高速道路会社)
本線シールド部の現場。7月末時点(写真:首都高速道路会社)

大橋JCT分合流部の現場。8月末時点(写真:首都高速道路会社)
大橋JCT分合流部の現場。8月末時点(写真:首都高速道路会社)

<訂正>初出記事で本文の第3段落1文目中「および同1号羽田線」と、その上に掲載した写真キャプション中「と同1号羽田線(京浜運河を越えて接続する道路)」を削除しました。中央環状品川線は大井JCTで羽田線に接続しません(2015年1月6日17時00分)