国土交通省は6月中旬、2013年度の直轄工事における情報化施工の活用件数を明らかにした。同年度の合計は1114件と前年度の1.6倍強で、大幅に増加したことが分かった(下のグラフ)。内訳では河川土工が485件と最も多い。以下、道路土工、舗装工、その他と続いている。

国の直轄工事における情報化施工技術の活用工事件数。「その他」は砂防・海岸工事、維持補修工事、造成工事などを指す(資料:国土交通省)
国の直轄工事における情報化施工技術の活用工事件数。「その他」は砂防・海岸工事、維持補修工事、造成工事などを指す(資料:国土交通省)

 活用件数の増加では、一定規模以上の土工事におけるトータルステーション(TS)出来形管理の導入原則化などが大きく貢献したとみられている。活用事例の受注者の競争参加資格別で集計すると、「一般土木C」および「一般土木D」のランクが、全体の約7割を占めている。

 また、施工者提案による活用例も前年度から増えている。施工者提案型では、マシンガイダンス(MG)による建機制御を導入したケースなどの増加が目立つという。「コスト面や効率化・省人化といった導入効果に、施工者の多くが気付き始めたとみている」。国交省総合政策局公共事業企画調整課の岩見吉輝施工安全企画室長は、このように説明する。

 同省が13年度から17年度までを取り組み期間としている第二次「情報化施工推進戦略」は、「『使う』から『生かす』へ」を全体テーマに掲げる。入札要件や成績評定の対策という面も含めてただ「使う」だけではなく、効率化や省人化といった効果を「生かす」と捉える考え方だ。

 カギとなるのは施工者自身が、自らにとってのメリットを実感できるか。人手不足や工事量の急増などで厳しさを増す現状は、効率化や省人化といったメリットに施工者の注目が集まりやすくなるという点で、情報化施工における一種の導入インセンティブとして機能し始めているようだ。