横浜港南本牧の湾内に2月下旬、3000t吊りの大型起重機船「富士」が停泊していた。湾内に造る橋脚の工事のためだ。橋脚の基礎として根入れする円筒形のケーソンと呼ぶ構造物を吊り揚げていた。横浜港臨港道路の一部となる海上橋を建設している。

 筆者が取材したケーソンの設置作業日は当初、2月上旬の予定だった。ところが、2度の大雪など海上の気象条件が整わず、2月下旬にずれ込んだ。

降ろされていくケーソン。設置場所を囲んで張ったオイルフェンスは、万一の油の流出に備えて設置した(写真:山崎 一邦)
降ろされていくケーソン。設置場所を囲んで張ったオイルフェンスは、万一の油の流出に備えて設置した(写真:山崎 一邦)

大型起重機船「富士」に吊り揚げられたケーソンの様子。富士は、東京ゲートブリッジの中央径間箱桁の仮設でも利用された(写真:山崎 一邦)
大型起重機船「富士」に吊り揚げられたケーソンの様子。富士は、東京ゲートブリッジの中央径間箱桁の仮設でも利用された(写真:山崎 一邦)

 遠方から見るとブーム先端の高さが100m以上にも達する大型起重機船に圧倒されるが、工事用に設けた湾内の仮設桟橋の上から見るとケーソンの大きさが実感できる。

 ケーソンは外径が12.6mで、高さは26.3m。関東で言えば首都高速中央環状品川線、関西で言えば阪神高速大和川線、これらの大断面シールドトンネルと外径が同等の構造物だ。このケーソンを海中に設置し、橋脚の基礎として海底面より深い土中に根入れする。