町の5割、村の7割で橋梁点検ができる技術者不在

 各自治体は今後、省令・告示に従って、構造物ごとに点検の基準や要領を作成する。「定期点検基準」では、具体的な点検方法や点検に必要な条件などを記載。「定期点検要領」では、主な変状の着目箇所や変状の判定事例写真集などをまとめる。

 橋梁の点検に必要な条件では、例えば、道路橋に関する資格や設計・施工・管理の実務経験などを求める。

 基本的には自治体の土木技術職員が点検を担当するが、小規模な自治体では、その数が少ない。橋梁保全業務に携わる土木技術職員が存在しない自治体の割合は、全国の町で約5割、村で約7割に上る。そのような自治体が省令・告示に基づいて定期点検を実施する場合は、民間企業への外注などが必要になる。

 国交省は現在、防災・安全交付金で、点検や長寿命化計画、修繕などの費用を支援している。省令・告示によってこれまでよりも点検の頻度を上げる自治体が増えるため、自治体の負担はさらに高まる。そのため、国交省は社会資本整備審議会道路分科会の基本政策部会で、自治体への財政支援策などを議論している。

■市区町村における橋梁保全業務に携わる土木技術者数
2012年7月時点の国土交通省道路局調べ(資料:国土交通省「第5回道路メンテナンス技術小委員会」)
2012年7月時点の国土交通省道路局調べ(資料:国土交通省「第5回道路メンテナンス技術小委員会」)