技能者不足は若年層で特に深刻だ。外国人労働者を活用するだけでは、根本的な解決にはならない。未就業者が建設業に振り向くような施策こそが大切だ。

工業高校の生徒による技能体験研修の様子。研修内容は、高校生を派遣する各県の建設業協会や工業高校の教師と打ち合わせて決める(写真:富士教育訓練センター)
工業高校の生徒による技能体験研修の様子。研修内容は、高校生を派遣する各県の建設業協会や工業高校の教師と打ち合わせて決める(写真:富士教育訓練センター)

 建設業の技能者不足に対して、政府が外国人労働者を活用する策を検討し始めた。東日本大震災の復興需要に加えて東京五輪の施設整備が重なり、技能者不足がさらに加速すると危機感を募らせたからだ。

 外国人技能実習制度を見直すことで、建設業への外国人の受け入れを拡大する方針だ。1月24日に官房長官や国土交通大臣、厚生労働大臣など7閣僚で構成する「建設分野における外国人材の活用にかかわる閣僚会議」を開催。3月末までに対策をまとめる予定だ。

 同制度は、3年以内の期限で主に途上国の労働者を受け入れて教育する制度だ。国際貢献が趣旨なので、本来は国内の技能者不足への対策ではない。建設業界からも「趣旨と違う」との反対意見がある。

 建設産業専門団体連合会の道用光春常務理事は、「技能実習で来日する外国人労働者は数年で帰国するので、人を育てる発想ではない。国内の未就業者に目を向けずに国外に目を向けると、若い人が建設産業に入る芽を摘むことになる」と指摘する。