本州四国連絡高速道路会社は、神戸淡路鳴門自動車道などの大規模修繕に乗り出す。陸上にある橋梁や盛り土などを対象に、橋梁の床版の防水や桁の表面被覆、盛り土の水抜きボーリングなどを実施する。修繕対象の延長は約30kmで、事業費は概算で約250億円。有識者から成る専門員会の意見を踏まえ、1月31日に修繕計画を発表した。海峡部の長大橋については、既に予防保全の考え方に基づいて維持管理しているので、今回の修繕計画には含めていない。

 同社が管理する道路の陸上部の総延長は約150.5kmで、海峡部の長大橋を含む管理道路全体の約9割を占める。このうち供用後30年以上の陸上部の延長は全体の約1割。この割合が約4割に上る東日本、中日本、西日本の高速道路会社3社と比べると、陸上部の供用後の経過年数は短い。加えて、気候が比較的温暖で積雪などの影響が少ないこともあって、大規模更新が必要となるほどの大きな劣化は起こっていない。しかし、老朽化に伴う変状が見られる箇所もあることから、大規模修繕に取り組むことを決めた。

 例えば、供用後28年が経過している神戸淡路鳴門自動車の亀浦高架橋(徳島県、橋長593m)では、老朽化や塩害によるコンクリートの浮きなどが発生しているため、PC(プレストレスト・コンクリート)床版に対して高性能防水と脱塩を、PC桁に対して表面被覆と電気防食をそれぞれ施すことにした。

 同橋を含め、修繕対象の橋梁のうち延長約10kmで床版の高性能防水と脱塩を、約8kmで桁の電気防食と表面被覆を行う。土構造物の盛り土や切り土では水抜きボーリングと排水工の設置を約12kmにわたって実施する。概算事業費として、橋梁の床版で約90億円、桁で約110億円、土構造物で約50億円を見込んでいる。

供用後28年が経過する神戸淡路鳴門自動車道の亀浦高架橋では床版下面のコンクリートの浮きが見つかった(写真:本州四国連絡高速道路会社)
供用後28年が経過する神戸淡路鳴門自動車道の亀浦高架橋では床版下面のコンクリートの浮きが見つかった(写真:本州四国連絡高速道路会社)