国土交通省は12月25日、道路やダムなどのインフラ施設に掛かる維持管理・更新費の将来推計を公表した。現在の維持管理の手法を続けると、2013年度の年間約3兆6000億円が10年後の23年度には1.4倍の4兆3000億~5兆1000億円に増え、20年後の33年度には4兆6000億~5兆5000億円となる見通しだ。

 国交省の社会資本整備審議会・交通政策審議会が答申した「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について」で示した。これまで個別施設の実態を反映せずに概略で推計したデータしかなかったので、今回は建設年度ごとの施設数や耐用年数、維持管理や更新の実績などを調査して詳しく試算した。現在の維持管理や更新の技術・手法を続けると仮定し、今後の新設や撤去は考慮していない。

「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について」の概要(資料:国土交通省)
「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について」の概要(資料:国土交通省)

 推計の対象とした施設は、国交省が所管する道路と治水、下水道、港湾、公営住宅、公園、海岸(農林水産省の所管分を含む)、空港、航路標識、官庁施設の10分野で、国や自治体、道路公社、水資源機構が管理するインフラだ。鉄道施設や高速道路などの民間企業が管理する施設は除いた。厚生労働省が所管する上水道や文部科学省が所管する学校施設なども対象外としている。

 既存のインフラは高度経済成長期に建設されたものが多く、今後10年で一気に老朽化が進む。答申では、推計した33年度以降、さらに維持管理・更新費が増加する可能性もあるとし、インフラの健全性を把握する仕組みの確立や予防保全型の維持管理への転換が必要だと指摘。技術開発も推進すべきだと提言した。