東京大改造

西武新宿線でも連続立体化が始まった

2013/12/24

 東京都内で他線に比べて遅れている西武新宿線の連続立体交差事業が動き始めた。東京都は12月10日、東村山駅を中心とした区間の事業に着手すると発表。これに先立って、4月には同線初となる中野区の中井駅─野方駅間の事業着手を発表し、10月に施工者が決まった。それぞれの事業区間を歩いてみた。

東村山駅周辺の連続立体事業の概要(資料:東京都)

中井駅─野方駅間の連続立体交差事業の概要(資料:東京都)

 東村山駅を中心とした連続立体交差事業は、同駅に乗り入れる西武鉄道新宿線の2305mと同国分寺線の790m、同西武園線の1385mを高架化し、5カ所の踏切を除去するもの。高架に沿って合計約800mの側道も整備する。

東村山駅の南側にある久米川第3号踏切。幅員は約9m(写真:山崎 一邦)

 除去する踏切は「久米川第2号踏切」と「久米川第3号踏切」、「東村山第1号踏切」、「東村山第2号踏切」、「東村山第3号踏切」の5カ所。このうち、東村山駅南端に最も近い久米川第3号踏切は、西武新宿線と国分寺線が市道第81号線と交差する。平日の正午近い時間帯に訪れると、踏切の遮断機が下りるたびに数台の車両が並んでいた。

東村山駅はホームを集約

 この立体交差化に伴って、東村山駅は高架構造とする。現在は3面6線の島式ホームを設置している駅を、2面4線に集約して高架化する。西武鉄道によれば、国分寺線と西武園線は単線で営業しており、集約しても運行に影響はないという。

東村山駅のホームから国分寺、新宿方向を望む(写真:山崎 一邦)

高架化する東村山駅の横断図(資料:東京都)

 むしろ、ホームの集約によって、西武新宿線から国分寺線に乗り継ぐ場合などに利便性が高まるとみている。現状では駅の東端にある西武新宿線ホームから国分寺線に乗り換える場合、跨線橋で西端のホームまで渡らなければならないからだ。

 東京都によれば、東村山駅周辺の立体交差事業は12月20日時点で用地取得や工事の発注に向けて準備している段階。事業は2024年度に完了する予定だ。総事業費は側道の整備も含めて714億円に及ぶ。

中野区の中井駅─野方駅間は地下化

 西武新宿線の中井駅─野方駅間の連続立体交差事業では約2354mの区間を地下化する。合計7カ所の踏切を除去する。これに伴って、新井薬師前駅と沼袋駅は地下化する。総事業費は726億円で、20年度の事業完了を目指す。

中井駅─野方駅間の連続立体交差事業の概要(資料:東京都)

地下化する中井駅─野方駅間の縦断図(資料:東京都)

野方駅の東端の様子。連続立体交差化されると、地上を走る列車が地下から出入りする風景に変わる(写真:山崎 一邦)

開かずの踏切5カ所を含む7カ所を除去

 この立体交差化によって除去される踏切は「中井第7号踏切」と「新井薬師前第1号踏切」、「新井薬師前第2号踏切」、「新井薬師前第3号踏切」、「沼袋第1号踏切」、「沼袋第2号踏切」、「沼袋第3号踏切」の7カ所。これらのうち、沼袋第2号踏切と同3号踏切を除く5カ所はピーク時に1時間当たりの遮断時間が40分以上に及ぶ「開かずの踏切」だ。

連続立体交差事業で除去される沼袋第3号踏切。幅員は約5mで、区道1000号線が交差する(写真:山崎 一邦)

除去される沼袋第2号踏切。幅員約6mで、区道730号線と交差する(写真:山崎 一邦)

区道10号線と交差する沼袋第1号。幅員は約8m。沼袋駅の出入り口に面しており、歩行者が多い。開かずの踏切の一つ(写真:山崎 一邦)

新井薬師前第3号踏切。区道320号線と交差する同踏切は幅員約8mで、開かずの踏切に当たる(写真:山崎 一邦)

新井薬師前第2号踏切。都道補助第26号線(通称:中野通り)と交差する。幅員約20mで、開かずの踏切の一つ(写真:山崎 一邦)

新井薬師前駅の西側にある新井薬師前第1号踏切。区道5号線が交差する。開かずの踏切の一つ。幅員は約9m(写真:山崎 一邦)

新井薬師前駅の東側にある中井第7号踏切。区道810号線が交差し、幅員は約6m。開かずの踏切の一つに当たる(写真:山崎 一邦)

 7カ所の踏切のうち、最も幅員が広い踏切は新井薬師前第2号踏切で、都道補助26号線(通称:中野通り)と交差する。同踏切の交通量も少なくなく、平日の日没直前の時間帯では遮断機が下りるたびに数台の車両が停車する状態。沼袋第1号踏切は沼袋駅の出入り口に面した位置にあり、7カ所の中で横断する歩行者の数が最も多く感じた。

連続立体交差に伴って2駅は地下化

 地下化の工事は5つの工区に分けて実施。第1~4工区は主に開削工法を採用し、営業線を仮受けしながらボックスカルバートや掘割などを構築する。第5工区は直径約7mのシールド機で上り線と下り線のトンネルをそれぞれ築く。

沼袋駅の東側で西武新宿線と交差する妙正寺川。連続立体交差事業で構築するトンネルは、この川の地下に構築する(写真:山崎 一邦)

現在の新井薬師前駅構内の様子。地下化に伴ってホームのカーブも解消されるとみられる(写真:山崎 一邦)

 工事は西武鉄道が発注。10月に全工区の施工者が決定した。第1工区が鹿島・鉄建・戸田建設・五洋建設共同企業体(JV)、第2工区が大林組・前田建設工業・フジタ・飛島建設JV、第3工区が清水建設・熊谷組・鴻池組・竹中土木JV、第4工区が西武建設・大成建設・安藤ハザマ・大豊建設JV、第5工区が大成建設・西武建設・安藤ハザマ・東急建設JVとなっている。

 地下化される新井薬師前駅は、最深部が地下約15m~16m、幅約17~18mで築き、1面2線の島式ホームを設ける。沼袋駅は最深部が地下約18m~19m。幅約29m~37mで築き、2面4線の島式ホームを設ける。

 西武新宿線はこれら2つの事業区間以外でも、幹線道路と交差する箇所でさえ踏切が少なくない。沿線自治体からは立体交差化を要望する声が挙がっている。

山崎 一邦=フリーライターケンプラッツ