政府は「インフラ輸出」を後押し

 インフラ関連技術を世界に売り込め──。日本政府は今年5月17日に「インフラシステム輸出戦略」を発表し、10年に約10兆円だった受注額を20年に約3倍に増やす目標を掲げ、企業の後押しを始めている。

 ただし、建設分野での成功例はまだ多くない。受注に至る過程やノウハウが明かされることも少なく、国内市場が中心の企業やそこで働く技術者にしてみれば、雲をつかむような話に聞こえるかもしれない。

■ 政府のインフラシステム輸出戦略における市場分析や方針
政府のインフラシステム輸出戦略における市場分析(政府の発表資料をもとに日経コンストラクションが作成)
政府のインフラシステム輸出戦略における市場分析(政府の発表資料をもとに日経コンストラクションが作成)

■ 2020年に現在の3倍に当たる約30兆円の受注を目指す
政府のインフラシステム輸出戦略における受注目標額(政府の発表資料をもとに日経コンストラクションが作成)
政府のインフラシステム輸出戦略における受注目標額(政府の発表資料をもとに日経コンストラクションが作成)

 だが、ネクスコ・ウエストUSAの取り組みからは、海外特有の難しさと同時に、当たり前の事実も透けてくる。他にない飛び抜けた技術、技術の特性を踏まえた売り込み方、顧客の信頼を獲得するために奔走する人材。この三つがかみ合えば、なんとか道は切り開けるということだ。会社設立から2年半を経て、三谷社長と松本副社長は「日本も海外も、基本は同じだ」と口をそろえる。

 日経コンストラクション10月28日号の特集「なぜその技術は海外で売れた?」では、困難を乗り越えて結果をたたき出す先駆者たちに、インフラ輸出の「極意」を伝授してもらった。ネクスコ・ウエストUSAの二人のように、慣れない環境での地道な営業で活路を見いだす者がいれば、静かに機を待ち、大型受注をものにした企業もある。それぞれが明かす“等身大”のインフラ輸出から、学ぶべき点は多いはずだ。併せてご覧頂きたい。