国土交通省は10月18日、「社会インフラのモニタリング技術活用推進検討委員会」の初会合を開いた。同委員会では、老朽化が進む社会インフラの現状を踏まえ、ICT(情報通信技術)を活用したモニタリング技術の開発や導入を進めていくための議論を展開していく予定だ。

 政府が2013年6月に閣議決定した日本再興戦略において、インフラの点検・診断システムに情報技術を活用するビジョンを打ち立てたことを受けた取り組みだ。総務省が開催してきたICT成長戦略会議も同じく6月、ICTを活用したインフラの維持管理の研究開発を進める方針を示しており、インフラ管理でのICT活用が、国を挙げて進もうとしている。

 インフラの維持管理におけるICT活用の機運が高まるなか、土木技術者はこうした動きをどのようにみているのか。日経コンストラクションでは、ウェブサイトを通じた緊急アンケートを実施。維持管理へのICT活用に対する土木技術者の意識を調査した。

 まずは、インフラの維持管理にICTを活用する動きへの期待度を尋ねたところ、「非常に期待する」と「ある程度は期待する」を合わせた肯定派が9割を超えた。ICT活用を懐疑的に捉える回答を大幅に上回った。

 期待を寄せる理由を問うてみると、「必要に応じた情報収集が容易になる」、「劣化や異状の把握の確実性が増す」、「補修・保全計画を立案しやすくなる」といった維持管理の質の向上につながる選択肢を選ぶ回答者が、いずれも6割を超えていた。

(資料:日経コンストラクション)
(資料:日経コンストラクション)

 半面、ICTの活用によって維持管理業務を合理化し、コストや人員削減を図ることに期待する声は、回答者の3分の1程度。土木技術者はICTに、業務効率面よりも管理水準面での改善を強く求めている。

 ただし、ツール自体のコストダウンは無視できない。ICTの導入に懐疑的な回答を寄せた人の過半は、コストアップを懸念。さらに、維持管理でICTを活用するために必要な項目を全回答者に尋ねた質問では、回答者の52.3%が機器や技術のコストダウンが必要だとみていた。