高速な「曲線送り出し」を採用

 多くの線路・国道の上部で、安全かつ短工期で架設していく必要があるので、この現場には高速・高精度の珍しい施工技術を投入している。

 送り出す本線2本の桁はカーブ区間なので曲線桁だ。一般的には真っすぐ送り出した後、桁先端を回転させて所定の平面位置に設置する。それには発進側に広い構台スペースと、到達側に回転軌条の荷重を引き受ける橋脚スペース、そしてそのための工期が必要だ。

 この現場ではそれらのスペースが狭く工期短縮の必要もあるので、「曲線送り出し架設」を採用した。送り出す桁の曲線半径に合わせて、これと同心円配置となるように送り出し軌条を設置し、その上を桁を乗せた走行台車が移動して送り出す。送り出し時に必要な曲線内側と外側における台車の走行速度差を、インバーターで制御して高速の曲線送り出しを可能にしている。今回送り出した桁の平面曲線半径は470m。高い施工技術・精度管理が必要で、国内でもあまり事例のない特殊な工事だ。

(1)曲線送り出し架設
(1)曲線送り出し架設(資料:鹿島・前田建設工業・京急建設JV)
走行台車をインバーターで制御することにより滑らかな曲線での送り出しを実現する(資料:鹿島・前田建設工業・京急建設JV)
桁は曲線軌条の上を送り出した(写真:勝田尚哉)
桁は曲線軌条の上を送り出した(写真:勝田尚哉)

(2)横取り架設
(2)横取り架設(資料:鹿島・前田建設工業・京急建設JV)
架設を完了した桁上を縦取りしてから、横取りすることで、架設箇所下方の安全性を向上させる(資料:鹿島・前田建設工業・京急建設JV)
(3)一括降下
(3)一括降下(資料:鹿島・前田建設工業・京急建設JV)
一括降下装置により、水平に送り出した桁を、短期間かつ安全に降下する。縦断勾配の降下はサンドル式で徐々に行うのが一般的だが、この現場では一括降下装置を採用した。芯棒とジャッキを組み合わせた装置で、長いストロークを安全かつ高速に降下させる(資料:鹿島・前田建設工業・京急建設JV)