位置情報に着目

 ホンダが持つ情報は、数秒間隔で取得した車の位置情報だった。県がこのデータから道路の機能改善に結び付ける情報として目を付けたのが、時間ごとの位置情報から計算できる加速度の情報だ。事故の大きな予兆である急ブレーキの発生箇所などを抜き出せば、安全対策が必要な箇所を効果的に絞り込めるとみたのだ。

 こうした着想の下、県はバスなどのブレーキ動作時に乗客が不快と感じる目安となる重力加速度の0.3倍以上の大きさを持つ減速度(マイナス方向の加速度)を一つの指標に設定。該当データの提供をホンダに依頼した。

 ホンダはこの申し出を受け、公的なデータ利用であることを踏まえて、県内で発生した1カ月分の急ブレーキ箇所のデータを県に提供した。この際に県がホンダに支払った費用は数百万円だという。抽出されたデータ数は合計で約5万件に及んだ。

■埼玉県が得たカーナビデータのイメージ
データはイメージ(資料:埼玉県)
データはイメージ(資料:埼玉県)