夜も大変な人出でにぎわう東京・お台場。首都高速湾岸線と国道357号線を挟んで向き合うフジテレビ本社ビル側とダイバーシティ東京プラザ側とを、8の字形をした巨大な歩道橋で結ぶ。夜間の一括架設作業を7月2日と9日、21日の3回に分けて実施。そのうち最も難度の高い中央部の桁を架ける2日夜から翌日未明に及んだ作業を取材した。

東側橋の上を移動する中央部のブロック桁。これから横移動してブロック桁を橋脚に載せる(写真:勝田尚哉、7月3日午前1時29分撮影)
東側橋の上を移動する中央部のブロック桁。これから横移動してブロック桁を橋脚に載せる(写真:勝田尚哉、7月3日午前1時29分撮影)

南側から見たお台場。点線で示したのが中央連絡橋の場所(写真:国土交通省関東地方整備局川崎国道事務所)
南側から見たお台場。点線で示したのが中央連絡橋の場所(写真:国土交通省関東地方整備局川崎国道事務所)

首都高湾岸線と国道357号をまたぐ

 歩道橋を架けるのは、お台場の文字通り真ん中に位置する「お台場中央交差点」の上空だ。直下には首都高湾岸線が走り、首都高の両側には国道357号の東行き、西行きの道路がそれぞれ走る。国道357号と同じレベルで、都道臨港道路青海縦貫線が直交している。歩道橋はこの交差点のさらに上に架ける。

 現場は、車も歩行者も大変な通行量だ。国道357号西行きと臨港道路は通行止めにし、首都高湾岸線は特別な通行規制を敷いて架設作業に当たった。

 連絡橋は完成すれば平面的に8の字形となるが、これを7つの大型ブロック桁に分けた。交差点近くの作業ヤードで地組みしたブロック桁を、取材した7月2日夜から翌日未明を含め3晩で、多軸台車を使って大きく架け渡す。完成すると8の字の長辺は約130mに及ぶ。

お台場中央連絡橋の位置。現場周辺の交通環境は複雑だ(資料:国土交通省関東地方整備局川崎国道事務所)
お台場中央連絡橋の位置。現場周辺の交通環境は複雑だ(資料:国土交通省関東地方整備局川崎国道事務所)

東側橋の上をブロック桁が移動完了した状態。直下には首都高速湾岸線が走る(写真:勝田尚哉、7月3日午前0時54分撮影)
東側橋の上をブロック桁が移動完了した状態。直下には首都高速湾岸線が走る(写真:勝田尚哉、7月3日午前0時54分撮影)

 取材日はこの多軸台車によるブロック桁架設の初回に当たる。8の字形の中央にあたるX形の「ブロック桁4」を一晩で架けた。

 首都高上に架かる東側橋の中央には、大きな開口がある。既に、首都高の両脇に設けた基礎から建つ2本の橋脚が、その開口から頭を出している。当夜はこの2本の橋脚の上に、ブロック桁4を載せる作業だ。

 1回目の当夜は、後の2晩の架設日と違い、直下の首都高への東側橋による防護のない時間帯が生じる。つまり、ブロック桁4が開口上に差し掛かり、橋脚に載って荷重を預けるまで、特別な配慮が必要になる日なのだ。

 ここからは、1回目の一括架設作業を順を追って見ていこう。